【日本の美しい禁足地vol.12】命がけで入浴しなけれないけない!?~北海道上川郡の「有毒温泉」〜

歴史や宗教的な背景などで立ち入ってはいけない場所。それが「禁足地」です。今回は、北海道・上川郡の有毒温泉をご紹介。名前からして、危険なにおいがする温泉ですが、どうして立ち入り禁止になっているのか詳しく調べてみました。

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有毒温泉はどこにある?

有毒温泉は、北海道上川郡「大雪山国立公園」の御鉢平カルデラの底部に位置します。周辺には宿泊施設はおろか、道路もありません。

また、大雪山国立公園は、北海道のほぼ中央に位置する山岳公園です。北海道の最高峰「旭岳」を主峰とする山群で、石狩川と十勝川の源流地帯を含んでおり、「北海道の屋根」と称されています。深い渓谷や森に囲まれた湖沼といった独自の魅力を持つ自然が広がっているのが特徴です。

登山客が有毒ガスで亡くなったことも

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御鉢平カルデラには、数カ所の湯だまり(有毒温泉)が確認されています。しかし、強力な毒性を持つ硫化水素のガスが噴出しているため、立ち入り禁止となっており、その湯だまりに近づくことはできません。

1958年には、学生2人が硫化水素のガスにより中毒死しました。さらに迷い込んだ登山客が中毒死する事故も複数起こっています。

また、人間だけでなく、ヒグマやキタキツネといった北の大地を代表する野生動物の死体もたびたび発見されているのです。

お鉢平めぐりのコースから有毒温泉を眺めることができる

直径約2kmの御鉢平カルデラは、3万年前の火山の爆発により形成されました。爆発後には湖があったとか。そんな御鉢平カルデラは、お鉢平めぐりができます。北海岳からスタートして、松田岳・荒井岳・中岳を時計回りで巡り約14km(5〜6時間ほど)のコースになります。

「御鉢平展望台」から望める、御鉢平カルデラ(有毒温泉を含む)の景色は絶景! この世のものとは思えない絵画のような美しさです。

大雪山のエゾリュウキンカ image by Miya.m from Wikipedia

このコースは、多くの高山植物や奇岩などを観察できて、景色の変化に富み、退屈しないのがポイント。とはいえ、本格的な登山コースとなりますので、登山装備をしっかり整えてから訪れましょう。加えて、ヒグマとの遭遇率が高いことから、熊よけグッズを持っていくことをおすすめします。

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