台灣飯(たいわんめし) 〜 倉敷で楽しむ台湾の味。ゲストハウスから生まれたキッチンカー

倉敷で本格的な台灣の味を楽しめるお店があります。

台灣飯(たいわんめし)は、岡山県内で開催されるマルシェイベントを中心に、台湾料理をキッチンカーで提供している移動販売店です。

台灣飯の店主 山内裕二(やまうち ゆうじ)さんは、倉敷美観地区にあるゲストハウス ゆうじいんのオーナー。

ゆうじいんに滞在していた台湾人スタッフたちに台湾料理のレシピを教えてもらいながら、現地の味を再現した台湾料理を提供しています。

山内さんは、なぜ台湾料理のキッチンカーを始めたのでしょうか

本格的な台湾料理を楽しめるキッチンカーが誕生するまでの背景を紹介します!

台灣飯の紹介

江戸時代の町並みが残る、倉敷美観地区の裏路地にあるゲストハウス ゆうじいん。

ゆうじいんのオーナーが手掛ける台湾料理では、どんな料理が楽しめるのでしょうか?

台灣飯の魅力を紹介していきます!

台灣飯とは?

台灣飯は、岡山市と倉敷市で開催されるマルシェイベントなどで台湾料理を提供する移動販売店です。

倉敷市では、主に水島で開かれているナイトマルシェ臨鉄ガーデンや、王子が岳のふもとの瀬戸内海の景色が楽しめるKARAKOTO Skecth Marchéに出廷しています。

台灣飯の看板商品は、滷肉飯(ルーローハン)。

煮込んだ豚肉をご飯に載せた台湾の定番料理です。

他にも、豚肉と株式会社アーチファームのパクチーをもっちりとしたパンではさんだ台湾バーガーや、台湾ではお馴染みのインスタントラーメンを使った牛肉麺(ニューローメン)などもあります。

出店するマルシェイベントによってメニューが変化するのは、台灣飯の特徴。

訪れるたびに、さまざまな台湾料理が楽しめます。

台灣飯の魅力

台灣飯で提供する料理は、ゆうじいんに滞在していた台湾人スタッフに、店主の山内さんがレシピを聞きながら作っています。

そのため、台湾の味が忠実に再現された料理になっているのです。

マルシェイベント主催者の要望に合う商品がなければ、台湾人スタッフに連絡を取り、新たなレシピを開発しています。

本場の味を再現した台湾料理を楽しめること、そして新たな商品が生まれ続けることが台灣飯の魅力です。

台灣飯で食べてみました!

営業中の台灣飯を訪れて、実際に台湾の味を楽しんできました。

倉敷で楽しむ本場の台湾の味を紹介します。

本日のメニュー

繰り返しになりますが、台灣飯の面白いところは日によってメニューが変わることです。

筆者が訪ねたときは、以下のメニューが用意されていました。

どれも気になりますが、すべてはお腹に収まりきりません。

筆者が気になったメニューを3つ選んで食べてきました!

滷肉飯(ルーローハン)

滷肉飯は、醤油やお酒とともに煮込んだ豚肉をご飯にかけた台湾の定番料理。

山内さんが、ゲストハウスで台湾人スタッフから最初に教えてもらった料理です。

甘く煮込んだ豚肉は柔らかく、ごはんと同時に口に入れるのが1番の美味しい食べ方。

日本人の口にも合うと思われる料理です!

ちなみに、台灣飯で商品を購入すると、切れ目のあるシートに商品を入れてくれます。

台湾のコンビニで弁当を買うときについてくるシートだそうです。

台湾の日常生活で使われる備品を取り入れているのも、台灣飯の見どころです。

牛肉麺(ニューローメン)

台灣飯が提供している牛肉麺には、台湾で販売されているインスタントラーメンが使われています。

おそらく香辛料の違いだと思いますが、香りは明らかに日本のインスタントラーメンとは違いました。

もちろん、台湾をほうふつとさせるスパイシーな味もしっかりと感じられます。

台湾に住む人たちが日常的に食べているものを、倉敷で楽しめるのは不思議な感覚です。

クラフトコーラ

台灣飯で提供しているクラフトコーラには、倉敷ひらまつ農園で栽培されたレモンと倉敷鉱泉で製造しているコーラの原液が使われています。

実は、倉敷鉱泉の社長は山内さんの小学校の同級生

倉敷ひらまつ農園とつながりのあった倉敷鉱泉の社長が、レモンを使った商品としてクラフトコーラを提案しました。

その後、台灣飯を通じて多くの人に届けられないかと、山内さんは相談されたそうです。

目が覚めるようなレモンの酸味があり、またシナモンの香りと味がしっかりと感じられました。

クラフトコーラならではの個性的な味が楽しめます。

さまざまな台湾料理を提供する台灣飯がどのように誕生したのかを、店主の山内裕二さんに聞いてきました。

台灣飯 店主 山内裕二さんにインタビュー

台灣飯の店主、ゆうじいんのオーナーの山内さんは、どういった想いで台湾料理を作っているのでしょうか?

山内さんと台湾の関係について深掘りしていきます!

台灣飯が誕生した背景

──なぜキッチンカーを始めようと思ったのでしょうか?

山内(敬称略)──

多くの人が知っているように、新型コロナウイルス感染症により宿泊業は大きな影響を受けました。

もちろん、ゆうじいんも例外ではありません。

2020年3月に慌てて帰国するフランス人を見送ったのを最後に、誰もいない状態が続きました。

普段から海外のお客さんが多かったので、渡航が難しい状況が続くと経営は立ち行きません。

ゆうじいんをたたもうかとも悩みましたが、少し前から流行り始めていたキッチンカーに目を付けたのです。

──台湾料理にした理由は?

山内──

ゆうじいんでは、台湾人スタッフに運営を手伝ってもらっていて、長い人は1年間以上も滞在しています。

長期間、日本で生活していると、母国の味が恋しくなるのは想像できるでしょう。

そこで、台湾人スタッフのために、台湾料理を作って振る舞っていたんです。

台湾の味を再現しようと、台湾人スタッフに教えてもらいながら、滷肉飯のレシピを覚えました。

キッチンカーを始めようと思ったときに、台湾人スタッフに教えてもらった滷肉飯で勝負しようと思い立ったのです。

ゲストハウス ゆうじいんと台湾

──なぜ台湾とのつながりが強いのでしょうか?

山内──

2008年にゆうじいんをオープンしてから間もなくして、台湾人スタッフが滞在してくれました。

その台湾人スタッフが、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で、「倉敷にあるゲストハウスのゆうじいんがめっちゃいい!」という内容の発信をしてくれたのです。

発信がきっかけとなって、次々と台湾人スタッフが来てくれて、お店を手伝ってくれるようになりました。

ゆうじいんをオープンして以来、途切れることなく26人の台湾人スタッフが滞在しています

──お客さんはどこの国の人が多いのでしょうか?

山内──

台湾から旅行にくるお客さんが多くいます。

美観地区という日本の古い街並みが残っている場所があることが理由の1つ。

また、岡山は東西の移動だけでなく、山陰方面、四国方面への移動もしやすい場所です。

さらに、台湾から岡山への直行便があり、交通の便がよいことも、多くの人が台湾から倉敷を訪れる理由になっています。

豊富な料理を提供できる背景

──メニューをイベントごとに変えている理由は?

山内──

マルシェイベントでは、さまざまなお店が出店しますが、出店する店舗によっては食べ物の種類に偏りが出ることもあります。

そこでマルシェイベント主催者の要望に合わせて、ごはん、パン、麺、デザートなどを提供できるようにしました。

ごはんであれば滷肉飯や鶏肉飯、パンであれば台湾バーガー。

さまざまな台湾料理を作れるからこそ、マルシェイベントに合わせてメニューを変えられるのです。

台灣飯の強みであり、魅力だと思っています。

──なぜたくさんのメニューを作れるのでしょうか?

山内──

マルシェイベントに合わせてメニューを選んでいますが、ぴったりと合うものがなければ、仲の良い台湾人スタッフに連絡をとって新しいメニューを聞いています

たとえば、今日、提供している牛肉麺も台湾に住んでいる元スタッフに教えてもらったもの。

これまでゆうじいんを通じて築いてきた台湾人スタッフとの関係があるからこそ、新しい台湾料理のメニューを作ることができるのです。

──どうやって台湾の味を再現しているのでしょうか?

山内──

滷肉飯を作るときは、台湾の醤油、酒を使って煮込んでいます。

台湾人スタッフに試食をしてもらい、煮込んだ豚肉の食感が異なると指摘されたときは、豚肉の部位を変えて歯応えを調整することもありました。

台湾の味に慣れ親しんだ台湾人スタッフの感覚を頼りに作り方を工夫しているんです。

また、台湾で馴染みのある調理器具メーカーTATUNG(大同電鍋)の鍋を使って、調理しています。

煮込んだり、ふかしたりできる優れものです。

これからの台灣飯

──これから台灣飯をどのようにしていきたいですか?

山内──

日本では台湾料理が浸透していないので、もっと多くの人に台湾料理を楽しんでもらいたいです。

台灣飯で提供している料理は、台湾人スタッフからレシピを学んだものなので、台湾の味が再現できています。

倉敷で台湾の味を楽しめるのは、台灣飯の特徴です。

そして、岡山県内のどこでも出店できますし、マルシェイベントに合わせて出店できるのもの台灣飯の魅力だと持っています。

マルシェイベントを主催者にも、台湾料理の魅力を知ってもらえるとうれしいです。

倉敷で台湾料理を食べてみて

実は、筆者が初めて訪れた海外は台湾でした。

異国の雰囲気に戸惑いながら、ときには道に迷いながら旅をして、台湾の人たちに親切にしてもらったことは今でも忘れられません。

もちろん、旅の途中で食べた料理の味も強く記憶に残っています。

台灣飯で食べた牛肉麺のスパイシーな味から、台湾の景色が蘇ってきました。

新型コロナウイルス感染症の影響で、ゲストハウス ゆうじいんは危機的な状況となりましたが、山内さんが築いてきた台湾人スタッフとの信頼が、ゆうじいんを救ったように思えます。

台灣飯が生まれた背景を知ると、台灣飯の料理が味わい深くなるはずです。

ちなみに、お店の前に飾られている人形は調理器具メーカーTATUNGのマスコットキャラクター。

お店に置いてある小物から台湾を感じられるのも、台灣飯の見どころです。

ぜひ、本格的な台湾の雰囲気を台灣飯で楽しんでください。

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