<金口木舌>お金の未来

 くすんだ10円玉をぴかぴかにするにはどうしたらいいのか?夏休みの自由研究でおなじみのテーマだ。答えはレモン汁や酢など酸を含んだものにつけておく。10円玉の主成分の銅が酸化したのを、酸で取り除くという化学反応だ

▼財務省は2022年度に製造する硬貨の枚数は6億2907万枚になる見込みだと発表した。当初計画から1億8500万枚減らし、ピーク時の半分以下。比較できる03年以降では最少となる

▼キャッシュレス決済の浸透で、硬貨の使用が減っていることが要因。21年度のキャッシュレス決済比率は3割を超えた。当方も気がつけば現金を一度も触っていない日がある。必ず現金で支払うのは冠婚葬祭と子どものお小遣いぐらいだ

▼「お金」の未来を想像してみる。現金は非日常のものとなり、スマホ上の数字のやりとりがお金のやりとりになる。とても便利だが、使いすぎが心配だ。通信障害時は使えるのか不安が残る

▼財布から小銭が消える。10円玉をぴかぴかにする実験も夏休みの自由研究から消えてしまうのだろうか。

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