缶詰パンでウクライナ避難民支援 やわらか食感好評、活動継続へ寄付金募る 那須塩原の「パン・アキモト」

パン・アキモトが届けた缶詰のパンを食べるウクライナの避難民(日本国際飢餓対策機構提供)

 【那須塩原】ロシアによる侵攻でウクライナから隣国のポーランドに逃れた人々を支援しようと、東小屋のパン製造販売「パン・アキモト」は、現地の避難所にパンの缶詰を届ける支援活動を行っている。4月から3カ月間、毎月100~200ケース(1ケース24缶)を送ったところ、やわらかな食感と味の良さが評判となった。侵攻が始まってから5カ月が経過した中、同社は「ウクライナが復興するまで、できる限り続けたい」と輸送費を捻出するための募金への協力を呼びかけている。

 同社は1995年の阪神大震災で、被災地に届けたパンの大半が傷んで廃棄されたことをきっかけに非常食用の缶詰パンを開発。2009年から「救缶鳥プロジェクト」として、企業や学校に販売した缶詰を賞味期限が切れる半年ほど前に回収し、災害被災地や発展途上国に届けている。

 秋元義彦(あきもとよしひこ)社長(69)は、ウクライナ人がポーランドに避難していることを報道で知り、同社と協力関係にある一般財団法人「日本国際飢餓対策機構」(大阪府)に協力を申し出た。3月に同機構のスタッフが現地の避難所に入った際、サンプルとして持ち込んだ同社の缶詰を配布したところ、「やわらかくておいしい」「子どもが喜んで食べている」と好評だった。

 これを受け航空便で4月に100ケース、5、6月は200ケースずつ計3回送った。今後も活動を継続するためには、高額な輸送費がネックとなっている。原油高などの影響で輸送費は1ケース当たり1万円ほどかかるという。

 同社は、自己負担での活動継続は困難と判断し、ホームページなどで寄付を呼びかけている。寄付金は7月下旬で約537万円に達している。

 同機構の清家弘久(せいけひろひさ)理事長(63)は「パンの缶詰は長期保存ができ味がいいので喜ばれる。日本での報道は少なくなりつつあるが、ウクライナに関心を持ち続けてほしい」と訴える。秋元社長は「缶詰を通してウクライナの人に日本人の優しさを届けたい」と話す。

 寄付は1口5千円から。東小屋の同社直売店「石窯パン工房きらむぎ店」への持参か、銀行振り込みで受け付けている。詳細は同社ホームページで確認できる。(問)同社救缶鳥課0287.65.3558。

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