公園での授乳にクレーム 「我が子への愛を詫びる気はない」と応戦 「セイント・フランシス」本編映像

8月19日より劇場公開される、「SXSW フィルムフェスティバル 2019」で観客賞と審査員特別賞を受賞した映画「セイント・フランシス」から、公園で我が子に授乳しようとしたマヤに対して執拗にクレームを入れる女性の姿を切り取った本編映像が公開された。

「トイレとか車の中でやってもらえない?」「男の注目を浴びたいのなら別だけど」と、容赦ない苦言の数々に思わず涙目になってしまうマヤ。しかし、本作の主人公であるブリジットが、マヤの気持ちを代弁して応戦する。その言葉に勇気づけられたマヤは「(子供の前)だからこそ異なる意見も尊重すべきだと示さないと」「不快にさせたのなら謝る」「でも我が子への愛を詫びる気はない」としっかりと自分の思いを伝える。産後うつに苦しめられ、自分に自信がなくなっていたマヤが、周囲の優しさと触れ合いうことで、少しずつ自分を取り戻す様子が捉えられている。

「セイント・フランシス」は、生理、避妊、中絶といった女性の体にのしかかるさまざまな負担や精神的プレッシャー、セクシャルマイノリティーの人々が直面する社会的な差別といったリアルを、ユーモアと軽やかさをもって描いた作品。ブリジット役で主演も務めるケリー・オサリヴァンが、自伝的要素を織りこんだオリジナル脚本を手がけた。6歳の少女フランシスを演じるのは、本作が俳優デビューとなったラモーナ・エディス・ウィリアムズ。ケリー・オサリヴァンの私生活のパートナーでもあるアレックス・トンプソンが、長編初監督を果たしている。

一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

■宇垣美里(フリーアナウンサー)
人類の半数が直面する 生理、避妊、中絶 なぜかタブーとされてきた等身大の姿を 軽やかにユーモラスに誠実に描いている。30代半ばで、何をすべきか? 分からないことだらけだけれどのびやかに、したたかに、生きていける気がした 。

■清田隆之(文筆業・桃山商事代表)
股から血を流す──そういう意味での“血のつながり<シスターフッド>”を、シス男性である私は持つことができません。その上で、本作が提示してくれた(男性に関する)希望と限界の両側面と向き合いながら、夫として、父親として、友人として、他者として、自分はどうあるべきかを考え続けていきたいと思いました。

■辛酸なめ子 (漫画家・コラムニスト)
アップデートされた保健体育的な、男性も女性も必見の映画。
様々な肉体の試練に見舞われながらも乗り越えていく女性の姿がかっこよくて、同性として生きているだけでも自分をほめたくなってきます。

■SYO(物書き)
褒められたもんじゃない本音も、隠しておきたい痴態も、全部ありのまま描く才能。
画面の向こうに心を開いて、「大丈夫、あなたも言っていい」と背中を押してくれる。
この映画が心の支えになる人が、きっと世界中にいる。

■野中モモ(ライター・翻訳者)
生理や妊娠、育児に翻弄される女性たちの視点で描いた「忘れられない夏」。幼い頃の自分に優しくしてくれた、今では名前も顔も思い出せないお姉さんたちのしあわせを祈りたくなる映画です。

■山内マリコ(作家)
Bravaaaaa!!! 心の中で何度もスタンディングオベーションを送りました。
女子のリアルがこんなにも自然に詰まった映画は、ちょっと他にない。
月に一度の生理、産む性であることの憂鬱、中絶。
それをこんなふうに描けるなんて、魔法だし、発明だ。
私たちを抱きしめてくれる映画。傑作。

【作品情報】
セイント・フランシス
2022年8月19日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町,新宿武蔵野館,シネクイントほか全国ロードショー
配給:ハーク
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