朝読書に、透明感あふれる一冊を。大森静佳の歌集『ヘクタール』

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『ヘクタール』

1989年生まれの人気歌人・大森静佳の第三歌集、新刊です。夏の読書に、言葉がきらめく一冊をぜひ。

ヘクタール
著者:大森静佳
出版社:文藝春秋

「さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて」

ヘクタールという堅苦しい言葉がさびしさの単位となって、一気に身近なものになる。さびしさについてのこんな歌もある。

「さびしいと手の大きさがちぢむひと光のなかでゆでたまご剥く」「青林檎ふたつにひらくさびしさの本気はものを見えづらくして」

日常がきらめく歌、生命感あふれる歌、自分の内面を見つめる歌、愛する人を想う歌、そのどれもが一度読んだら心を捉えて離さない。360首を収録した本書には、作家・川上未映子の小説『夏物語』へのトリビュート作品、源氏物語へのオマージュも収められています。

歌集『ヘクタール』の「朝時間」は、のびやかで透明感あふれる一首を。この歌に詠まれた人とゆでたまごを剥く人は同じ人なのだろうか。そんなことを思いながら。「青空をくすぐるように笑うひと楡の木ゆりの木みな立っている」

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

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