ラーメン屋さんで「タダでラーメン食べさせてください」って言える?ノーギャラ出演交渉に嘆く演奏家の投稿

ノーギャラ出演交渉に嘆く演奏家の投稿がSNS上で大きな注目を集めている。

「『ギャラは出ないんですが、、、、』という相談は本当にやめていただきたい。笑 同じことをラーメン屋さんに行って『タダでラーメンを食べさせてください』と言えるのでしょうか?笑」

フリーランスの演奏家でチェリストの玉川克さん(@tamavc)。

筆者もミュージシャンなのでよくわかるが、日本という国は芸術への理解が浅いのか、けっこうなキャリアを持った相手に対しても平気でノーギャラで出演や作品提供を求める人が存在するのだ。玉川さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「もう本当に困った人間が多く、こちらが恥ずかしくなりますよね。
ギャラが出ないと言われたら、
『あなたはレストランで"タダで食べさせて下さい"と言ったり、病院で"タダで診察して下さい"と言うのですか?』と尋ねないといけませんね…」
「同意です。動物病院の獣医さんも、保護して来た猫なんかで『え?お金かかるの?』とか言われちゃうことがありますね…。保護して下さったこと自体は嬉しいのですが、ボランティアであたりまえというのはプロに対していかがなものかと…。」
「私は絵を描けるのですが、知り合いから、『お店の広告かいて』とか、『地元のお祭りで、子供のほっぺたにペイントして』とか、『名刺に挿し絵かいて』などなど色んなリクエストがあり、できる限り応えていたら、経費がすごくかかり(画材道具も安くはない)辛くて絵を描く事自体辞めてしまいました。。」
「音楽に限らず映像や演劇等、ただ働きをお願いは絶えませんね、文化や芸術が安くみられているようです。」

など数々の共感の声が寄せられている。

玉川さんにお話を聞いた。

ーー演奏家として長いキャリアをお持ちの玉川さんですが、いまだにこういったオファーをしてくる方は多いのでしょうか?

玉川:この手のオファーは若い頃は随分ありました。さすがに最近は少なくなってはきましたが、たまにあります。

もちろん自分で納得したチャリティーコンサートには出演しますし、自ら企画もした事もあります。ただ何のためかわからないのに無償の演奏は引き受けるべきではないのでお断りしています。

ーー音楽家として理想のオファー形式をお聞かせください。

玉川:やはり明確にギャランティーは提示されていて演奏の中身が決まっていることだと思います。

ーーこれまでの反響やコメントについてご感想をお聞かせください。

玉川:とても反響があって驚いていますがやはり「物品」ではない技術系のお仕事の方が共感されている方がたくさんいるという印象を受けました。

◇ ◇

今回の反響が少しでも社会の芸術への認識を高めてくれるよう願いたい。

なお玉川さんは今年11月23日に所属する昴21弦楽四重奏団の結成20周年記念コンサート「昴21弦楽四重奏団 結成20周年コンサート」をトッパンホール(東京都文京区)で開催する。一流の音楽人たちによる迫力ある演奏が楽しめるまたとない機会なので、ご興味ある方はぜひ足を運んでいただきたい。

ノーギャラの出演交渉に嘆く演奏家の投稿が話題に(イメージ画像)

玉川克さんプロフィール

5歳より才能教育研究会にてチェロをはじめる。宇都宮短期大学附属高校音楽科を経て、桐朋学園大学カレッジディプロマコース修了。
2005年よりリサイタルを開始。2011年にはバッハの無伴奏組曲全曲を取り上げる。
室内楽奏者として非常に多くの演奏会に携わっており、2003年に結成した昴21弦楽四重奏団では、東京、山形、仙台、宇都宮、横浜でのコンサートを毎年開催。 さらに、TKカルテット、スーパー・チェロ・アンサンブル・トウキョウのメンバーとしても定期的に演奏を行っている。
近年新たに、出身地である栃木県において本格的な室内楽コンサートを届ける「玉川克の室内楽シリーズ」を主宰、毎年3回のコンサートを開催している。その他、客演首席奏者として国内の主要オーケストラから招聘されるほか、クラシック、ポップスなどジャンルを問わずレコーディングへの参加多数。

Twitterアカウント:https://twitter.com/tamavc

ホームページ:http://www.cellotama.com/

「昴21弦楽四重奏団 結成20周年コンサート」:https://teket.jp/3163/12697

(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)

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