【保険者による保健事業】後発薬使用促進から重複投薬対策やセルメにシフト傾向

【2022.08.01配信】厚生労働省は8月1日、「第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会」を開催した。データヘルス計画とは、保険者がレセプト・健診情報等のデータ分析に基づき効率的な保健事業を実施するための事業計画のこと。同日の検討会では、一部の保険者で後発医薬品の使用率上昇が飽和しつつあることから、重複・多剤対策やセルフメディケーション事業への取組みが生じつつあることが報告された。

令和4年7月から共同保健事業のマッチング機能有する「データヘルス・ポータルサイト」を社会保険診療報酬支払基金に移管

事務局は今後の論点の1つとして、「事業メニュー」を挙げ、一部の保険者で後発医薬品の使用率上昇が飽和しつつあり、重複・多剤対策やセルフメディケーション事業への取組みが生じていることを確認しているとした。

2021年の補助事業でも、レセプトデータに基づくスイッチOTCの活用に適した対象者の抽出と、セルフメディケーションによる負担軽減等に関する、加入者全体への啓発活動、個別対象者への個別通知などが展開されている。成果指標としては、「行動変容への影響」や「加入者の意識の変化」、「セルフケア実践への影響」を設定。「セルフケア実践への影響」では「薬剤師への相談数・内容」などを要素としている。

また課題となる「事業アプローチ」に関しては、規模の経済やノウハウの共有などに資する共同事業を展開する保険者も出てきているものの、実践は十分に普及していないとも指摘した。今年7月から「データヘルス・ポータルサイト」を社会保険診療報酬支払基金に移管。既にある関係性のネットワークを超えてマッチングできる機能を導入し、類似した保健事業を実施する保険者同士による共同保健事業を推進したい考えを示した。

保険者である委員からは、健康寿命延伸と医療費適正化を同時に進めるデータヘルス計画実施に当たり、マンパワーや財政問題が大きいと指摘された。

今後、保健事業の指針や「データヘルス計画作成の手引き」の改訂内容を議論していく方針だ。

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