自殺者 岡山5年ぶり300人超え 県21年まとめ コロナで環境変化

 岡山県内の昨年1年間の自殺者は318人(前年比19.1%増)と5年ぶりに300人を超えたことが県のまとめで分かった。専門家は、新型コロナウイルスの影響で、職場や家庭の環境が変化したことが大きな要因と分析。当事者や周囲の人たちからの相談を呼び掛けている。

 自殺者の性別は男性213人(前年比12.7%増)、女性105人(同34.6%増)。女性の割合は過去10年間で最多の33.0%となった。

 年代別では、70歳以上が最も多く68人。40代が59人、50代が55人、20代が41人、30代、60代がそれぞれ40人、19歳以下が14人。60代を除き、61.8~7.3%増えた。

 50代の女性が大きく増えたのが最大の特徴で、前年の8人から22人となった。県精神保健福祉センターによると、勤務先からの解雇や雇い止め、親が介護保険サービスを十分に受けられなくなったことによる介護の負担増、夫婦で過ごす時間が増えた結果、夫からのドメスティックバイオレンス(DV)を受けやすくなったことなど、さまざまな要因が考えられるという。

 40代の女性も前年より4人多い16人だが、50代と同様の理由が考えられる。

 男性は女性ほど年代別の増加幅に差はない。前年より、50代は7人、20代が6人、30代と60代が各5人増えた。

 コロナによる経営不振や雇用形態の変化が背景にあるのか、有職者は全体の41.8%と前年より8.1ポイント増え、過去10年間でも2番目に高かった。

 精神科医で同センターの野口正行所長は「本人はもちろん、普段と様子が違うことに周囲の人が気付いたなら、専門機関に連絡してほしい」と呼び掛けている。

 悩みに関する相談は、こころの健康相談統一ダイヤル(月~金曜の午前9時半~正午、午後1時~4時、0570―064―556)▽岡山いのちの電話(24時間対応、086―245―4343)―などで受け付けている。

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