キャンプで遭遇する可能性のある危険生物といえば、熊、スズメバチ、マダニ、などがよく言われますよね。では、「やけど虫」はご存じですか? その名の通り火傷症状を起こす虫なのですが、実は意外と身近にいる虫なんです!今回は、キャンプでやけど虫の被害に遭った筆者の体験談とともに、対処法や注意点をお伝えします。キャンプに行く前にやけど虫について知っておきましょう!
意外と知らない「やけど虫」被害! 筆者がやられたのはテントでの就寝中
「やけど虫」について詳しくお話しする前に、まずは筆者がキャンプの中で体験したやけど虫被害についてお話ししたいと思います。
1泊のキャンプを楽しんで、2日目の午後、ふいに鏡を見た時でした。
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「こ、こ、これはっ……(ガクブル)!」
自分の顔を見ると、目の横に見たことのない大きなシミができていたのです!
これは発症後2日目の写真。初日はボワッと丸い輪郭をしていたので、まさに濃いシミのように見えました。
このシミができた翌日、皮膚科に行って話を聞いてみると、シミではなく虫の毒液による火傷症状と言われました。
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虫に付いている毒液が顔に付いて、化学薬品で焼けたような症状が出たのだそうです!
拡大してみると、ジュクっとしていて火傷のようですね!
就寝中にやられたらしい! しびれ症状あり
思い返せば、テントで就寝中、目から頬にかけてビリビリジワジワ~とした感覚があって目覚めました。
初めての感覚だったので、「朝鏡を見たら顔が変形していたら怖いなぁ……。」なんてウトウトしながらも、とりあえずまた眠った記憶があります。
朝起きた時には異常がなかったので、そんなことも忘れてキャンプを楽しんでいる間に時間差で症状が出たようです。
私の体験をまとめると、、、
【深夜】やけど虫が顔に接触
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【おそらく接触直後】接触箇所がしびれる
↓
【翌日の午後】接触箇所がシミのようになる
犯人はおそらくコイツ! 「アオバアリガタハネカクシ」通称やけど虫
やけど虫と呼ばれる「アオバアリガタハネカクシ」は、体調6~7㎜ほどの虫です。
頭部と後胸は黒、前胸と中胸はオレンジ、尻尾は黒で、小さくて細く、名前の通りアリのような風貌ですが、色が特徴的ですね。
毒素と被害:ペデリンによる水膨れや赤発
この「アオバアリガタハネカクシ」は、「ペデリン」という有害物質を体内に持っていて、それが皮膚に付くと、数時間後~1日後に水膨れや赤発などの症状が出ます。痛みやしびれを感じる場合もあるそうです。
ペデリンが万が一目に入ってしまうと、失明してしまう可能性もあるんだとか。
アオバアリガタハネカクシによるこの症状は、払い除けたときに潰してしまうと線のように広がることから「線状皮膚炎」と呼ばれます。
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私はかなり軽症だったようで、水膨れにはなりませんでした。
寝ていたため、刺激せずに済んだのが不幸中の幸いです。
生息地:日本全土
湿った場所を好み、田んぼ、池、沼の周辺、畑、草むらに生息。街灯や自動販売機などの光に集まる性質があるので、キャンプの夜は要注意!
活動時期:主に3~11月
主に気候の良い3~11月ごろに活動します。特に夏は個体数が増えるので注意!
猛毒「カンタリジン」を持つツチハンミョウ科とカミキリモドキ科にも注意!
皮膚科の先生との会話の中で、アオバアリガタハネカクシ以外にも触ると危険な毒虫がいることを教えてもらいました!
以下の2つの種は「カンタリジン」という毒素(致死量は30g)によって、水膨れ(水疱性皮膚炎)や痛みなどの皮膚症状を起こします。
ツチハンミョウ科
マメハンミョウ、オオツチハンミョウなど種類豊富。触られるなど危険を察知すると、カンタリジンを含む黄色い液体を出します。
鮮やかなハンミョウと比べると、ツチハンミョウ科は地味でシンプルな見た目の種類が多いようです。
マメハンミョウは頭がオレンジ色で体は黒に黄色い縦筋が入っておりカッコいい姿が魅力的ですが、絶対に触ってはいけません!
カミキリモドキ科
大顎がカッコいいカミキリムシとは違い、大顎がなくサイズが小さいのが特徴。
キイロカミキリモドキ、モモブトカミキ、アオカミキリモドキなどの種類があります。
ツチハンミョウ科と同様に、カンタリジンを含んだ黄色い体液を持ちます。体が非常に柔らかく潰れやすいので、手で払わないように注意してください。
【対処法】絶対に潰したらダメ! やけど虫などの毒液を持つ昆虫に出会ったらどうすればいい?
それでは、ここからはペデリンやカンタリジンを持つ昆虫に遭遇した時の対処法について確認していきましょう!
家の中などで見付けたら
やけど虫は家の中にも侵入してきます。何度も言いますが絶対に触ってはいけません。
たとえ死骸だとしても、毒液がついているので素手で触るのは危険です!
ティッシュなどでブチっと潰した際に、体液がティッシュを通して手に付いてしまう可能性がありますので、何枚か重ねたティッシュを使って退治・処理するのがおすすめです。
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そもそも家の中に入れないよう、網戸を使って虫が侵入する隙間を作らないことも大切です!
体にくっついて来たら
体に虫が付いていたら反射的に手で払ってしまいますが、やけど虫の場合はグッと我慢です!払ってしまうと、虫が潰れて被害が拡大してしまいます。
攻撃性はないので、刺激をせずに待ったり、息を吹きかけるなどして離れてもらいましょう。
もし触ってしまったら
間違って触ってしまったときの応急措置としては、入念な手洗いが有効です。
虫が付いた箇所をこするのは絶対にいけません!
こすってしまうと毒液が広がる可能性がありますので、やさしく水で洗い流しましょう。
参照:日本臨床皮膚科医会
症状がひどい場合は医師に相談を! 適切な治療で早期完治
筆者の場合、症状が出た翌日に皮膚科に行き、処方されたステロイド剤によって5日程で元通りになりました。
ペシっと払ってしまうと、虫が潰れて大きな水膨れができたりヒリヒリ痛むなどの深刻な症状が出る場合があります。
さらに、毒液の付いた手で目を触ってしまうと失明する危険もありますので、不安を感じたら自分で判断せず、すぐに医師に相談してください。
【注意】
- 症状の悪化や異変を感じたら医師に相談しましょう。
- 症状によっては救急車を呼ぶなども検討してください。
- 既往歴がある方や治療中の方は医師に相談してください。
【被害を防ぐ方法】キャンプでやけど虫被害に遭わないためにできること
これからキャンプへ出かける方は、以下のことに注意してやけど虫被害を予防しましょう!
①肌の露出を控えめにする
アウトドアにおける虫対策の基本は、肌の露出を少なくすること!
転倒時のケガ予防や日焼け対策にも有効なので、夏は接触冷感素材などを取り入れながら肌を守りましょう。
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筆者の夫と息子は、夏キャンプでヒルに噛まれて出血した経験があります!
それ以来、短パンとサンダルで過ごすのはできるだけ控えています。
もちろん服を着ていても侵入してくることはありますが、肌の露出を控えるだけでも虫による被害は最小限に防げるはずです。
②テントの出入口はその都度閉める
テントの寝室に侵入されてしまうと、筆者のように無防備な睡眠時に狙われる可能性があります。
特に虫の多い時期はテント内に虫を入れないよう、しっかりと出入口を閉めておきましょう!
③お子さんへの指導も必要
昆虫好きなお子さんを持つ親御さんは、ぜひ危険な虫がいることをお子さんに伝えてあげてください。
筆者の息子たちも昆虫が大好きで、キャンプに行くたびに虫探しをしています。つい最近のキャンプでもハンミョウを見付けて虫かごに入れていました。
これが有毒のツチハンミョウ科だったらと思うと怖いですよね……!
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昆虫好きの息子たちの愛読書、『小学館の図鑑NEO POCKET』には、今回紹介した3種(アオバアオガタハネカクシ、ツチハンミョウ科、カミキリモドキ科)についてもしっかり記載されていました。
キャンプに持参して、気になる虫がいたら調べてみるといいかも!
④虫よけアイテムを活用する
テントや自分自身に虫を寄せ付けないために、蚊取り線香や虫よけスプレーといった虫よけアイテムの活用も有効です。
ハピキャンでは6種類の虫除けアイテムも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください!
まずは「やけど虫」について知ることから! 絶対に触らず適切に対処しよう
毒液を持ち、火傷のような皮膚炎症を引き起こす「やけど虫」について理解できましたか?
やけど虫の知識をはじめ、予防法や対処法を把握しておくだけでも被害は最小限に防げると思います。
ぜひこの機会に、ご家族や仲間にやけど虫の情報をシェアしてあげてくださいね!