MAUI63、絶滅に瀕するイルカの保護活動にAI 搭載ドローンを採用

非営利団体MAUI63の科学者と自然保護活動家は、AIなどのツールを活用して、マウイイルカの保護を支援している。AIを駆使したドローンで、イルカを効率的に見つけ出し、追跡し識別できるという。

マウイイルカは、海の中でも希少性が高く、その数はわずか54頭。南太平洋のニュージーランド西海岸沖での刺網漁など、何十年にもわたって行われた漁業活動により、絶滅の危機に瀕している。

同団体のCEOを務めるヴァン・デル・ブーン氏は、AIモデルの構築方法を学び、マウイイルカの画像をタグ付けし、識別できるようトレーニングした。その後、約4年間にわたり、開発やテスト、資金調達に取り組み、2022年にようやくマウイイルカの発見に至ったという。

左から、MAUI63共同設立者のウィリー・ワン氏、パイロットのヘイリー・ネシア氏、パイロットのピート・カースカレン氏、MAUI63共同設立者のテーン・ヴァン・デル・ブーン氏。

ヴァン・デル・ブーン氏は、次のように述べている。

とても興奮しました。私たちはバンの中で座っていて、ドローンは海岸から16キロメートル離れたところにいました。周囲を一周していると、AIがイルカを検知したんです

開発にあたっては、ニュージーランドのCloud and AI Country(クラウドおよびAI立国)計画からの資金援助、Microsoft Philanthropies ANZからのサポートを受けたという。同ソリューションは、8K超高精細スチルカメラとフル HDジンバルカメラに、イルカを発見する物体検知モデルを組み合わせ、本来顔認識用に開発されたオープンソースアルゴリズムを統合。Microsoft Azure上にホストされたシステムで、背びれの形や大きさ、傷などの特徴から個体を識別するデータを収集できるという。

MAUI63では物体検知コンピュータービジョンモデルを活用し、調査の一環で収集されたドローンの映像からイルカを発見している。

同団体は、Sea Spotterというアプリを開発。マイクロソフトのクラウドサービスを活用し、目撃情報を写真でアップロード、AIアルゴリズムによってどの個体かを識別する。自然保護活動家によると、マウイイルカを保護する方法を把握するには、その生息地を正確に特定することが極めて重要だという。

生息地として知られる区域は、2008年に海洋生物保護区となり、2020年に拡張された為、漁船の網に混獲されるリスクは極めて低いとしている。しかし、保護区の外に出てしまう事を考え、同団体は、漁業会社と協力して統合プロジェクトに取り組み、最終的にはドローンによる目撃情報をリアルタイムで漁船の乗組員に通知する仕組みを模索していくという。

▶︎Microsoft Corporation

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