行動制限がない2022年の夏は、多くの人が海のレジャーを楽しんでいます。しかし、観光地では津波避難などの防災対策にも新型コロナの影響が及んでいます。
静岡県南伊豆町の弓ヶ浜です。コロナ以前には、ひと夏で4万人以上が訪れていた人気の海水浴場です。
<子ども>
「何だか波が大きくて、その時浮き輪がふわーんとなって楽しい」
<親>
「(Q.今地震や津波と言われたら?)まずは子どもたちを避難させたいが、どうすればいいかはわからない」
弓ヶ浜海水浴場がある南伊豆町の湊地区は、南海トラフ巨大地震で最大13mの津波が想定されています。地震発生から津波到達までの猶予は約12分。ライフセーバーが海水浴客の安全を見守ります。
<南伊豆ライフセービングクラブ 鈴木秀さん>
「私たちライフセーバーはこちらの監視タワーに津波フラッグというものを置いてあります。地震が発生したらこちらの監視タワーに掲げて遊泳客の方に周知します」
「津波フラッグ」を掲げ避難を呼びかける緊急放送を行います。その後、ライフセーバーは海水浴場のすぐ近くにある津波避難タワーや高台のホテルなどに海水浴客を誘導します。タワーには1000人が避難可能で、防災倉庫には水や食料などが備蓄されています。
弓ヶ浜海岸がある南伊豆町の湊地区は海と川、山に囲まれています。津波からの逃げ遅れがないように至るところに海抜表記や誘導看板があります。また、新たな避難場所の整備も進めようとしています。
<湊区 山田晴之区長>
「(Q.ここは何?)この辺の有志が階段をとりあえず作ってくれた。今でも上がろうと思えば上がれるのですが…」
住民たちで手作りした山に登る階段です。地区には町指定の避難先もありますが、やや距離が離れていることから、近くの山にすぐに逃げられるようにしました。ただ、手すりをつけるなど、お金のかかる整備はできていません。
<住民の小山英成さん>
「とにかくきれいにしたいですよね。人が簡単に上がっていけるようにしたいという大前提はあります」
<湊区 山田晴之区長>
「なるべく早くやりたいということで建設業者に見積もりは取ってあるんです。ただ去年の段階では工事にかかるまでの金銭的余裕がなかった」
防災施設の整備には町から補助金が出ますが、それだけでは足りません。地区では、海水浴場の駐車場収入で補おうとしていました。しかし、新型コロナの感染拡大で観光客が減ってしまったのです。
<湊区 山田晴之区長>
「1番お客さんが訪れて収入が上がったのは、1番多いときで1500万円くらい。(Q.コロナでの影響は?)激減ですね。昨年に至っては600万円くらいしか入らなかった」
2020年、2021年と新型コロナで大きな打撃を受けた観光地。駐車場の管理にかかる人手や手当を減らして、何とか津波対策にかけられる費用を捻出しようとしています。
<湊区 山田晴之区長>
「コロナも収まりそうにない現状ですが、何かあるときに使えるお金を年々少しづつでも貯めて、防災、あるいはみんなの安全のために使いたいと思います」
感染防止対策を万全にうまく経済を回すことで地域の防災対策を強化したいと地区の人たちは考えてます。