新型コロナ 重症化の仕組み解明 医療従事者、判断の一助に 平原潔教授(上越市出身)ら研究チーム 千葉大学病院と千葉大大学院

 千葉大学病院と千葉大大学院医学研究院の研究チームは、新型コロナウイルスの重症化メカニズムを解明した。このほど米国の国際医学雑誌に成果が掲載された。研究チームのメンバーで上越市出身の平原潔教授(45)らが1日、記者会見で発表した。

記者会見する平原教授(1日、千葉大学病院提供)

◇ミルナイン濃度関係 検査キット開発など期待
 研究は同病院の横手幸太郎院長と千葉大の中山俊憲学長が主導し、平原教授は研究開始時のアイデア出しや研究の取りまとめを行った。
 研究チームは、新型コロナウイルスで死亡した8人の肺組織を調べた。その結果、血管の中に「Myl9(ミルナイン)」というタンパク質が大量に沈着していたことが分かった。さらに入院中患者123人分の血液を解析したところ、血液中のミルナイン濃度が上昇していること、重症度やその後の入院日数と相関関係があることが明らかになった。
 研究チームは血中のミルナイン濃度が新型コロナウイルスの重症化に関する判定要素や予測要素になるとして、濃度を測定する簡易検査キットや治療法の開発につなげたい考え。
 平原教授は上越タイムス社の取材に「ミルナイン値が高い患者は、検査時に症状が出ていなくても重症化する可能性があるので入院してもらう、逆に低ければ入院加療せず様子を見る、というように、ミルナインの値が医療従事者の判断の一助になるのではと考えている」とした。

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