「発災当時の気持ちを持ち続けていかないと」熱海土石流災害から1年1か月 行方不明者の捜索続く

静岡県熱海市で発生した土石流災害から8月3日で1年1か月となりました。土石流の発生した現場では、被災者などが当時を思い返し黙とうを捧げ、警察はいまだ行方が分からない1人を探すため、一斉捜索を実施しました。

消防に最初の通報があった午前10時半ごろ、土石流災害の現場が見える場所では、被災者などが黙とうを捧げました。1年以上が経ち、黙とうに訪れる人は以前より少なくなったように見受けられましたが、呼びかけがなくても10人以上が集まり手を合わせました。

毎月、黙とうを捧げてきた太田滋さんは、当時の気持ちを忘れてしまわないよう3日も足を運んだといいます。

<家が全壊した太田滋さん>

「本当に自分勝手な気持ちでやっているが、ご遺族の方たちに寄り添える気持ちがまだ自分にはないと思います。もっとその時(発災当時)の気持ちをずっと持ってなきゃいけないのかなと。(自宅に)戻ったときに、その日思っていたことを読み返そうかなと」

土石流災害では27人が亡くなり(災害関連死含む)、いまだ1人の行方がわかっていません。

伊豆山港では、行方不明となっている太田和子さんの手がかりを探すため、警察による一斉捜索が60人態勢で行われました。

<静岡県警 高橋誠警備部長>

「発生から1年と1か月が経ちましたが、必ず最後の1人を見つけ出すという強い思いは変わることはありません。綿密な捜索をお願いします」

このあと捜索隊は、海の中や波けしブロックのすきまなども念入りに捜索しました。

また、熱海港にある災害土砂の仮置き場では15人ほどの機動隊員による捜索が毎日続けられています。ちょうど2か月前には、太田さんの病院の診察券が別の土砂の仮置き場から見つかりました。

3日も、細かくふるいにかけた土を丁寧に探りながら、太田さんの手がかりになるものの捜索が続きました。

2021年7月の熱海土石流災害では、起点となった盛り土から大量の土砂が伊豆山地区に流れ込みました。警戒区域に指定されたこちらのエリアは、今も立ち入りが制限され、住むこともできない状況です。

いまだ、避難生活を強いられている方が、132世帯235人います。多くの避難者の関心事は「いつ家に帰れるのか?」です。

熱海市は、8月7日から9日にかけて被災者に向けた説明会を開き、警戒区域の解除スケジュールが初めて示されることになりそうです。土石流災害から1年以上が経つ中、帰宅を待つ住民にも我慢の限界はあります。住民の思いに寄り添った支援策を示す事が求められていると感じます。

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