RCサクセション伝説のライブ!この夏 “KING OF LIVE” までの道のりを目撃せよ!  活動50周年! 久保講堂から始まったRCサクセション “進化への道”

日本のライブアルバムの金字塔、RCサクセション「RHAPSODY」

優れたミュージシャンは、傑作と言われるスタジオアルバムにも匹敵する、いやそれ以上のライブアルバムを残している。サム・クックの『ハーレム・スクエアクラブ1963』だったり、ザ・フーの『ライヴ・アット・リーズ』であったり、ローリング・ストーンズの『ラブ・ユー・ライヴ』であったり―― これらのアルバムは、“熱狂” という言葉だけでは片付けることのできないミュージシャンの資質から生まれる独創性、ルーツを垣間見ることができるインプロヴィゼーション的な演奏など、スタジオアルバムとは異なった楽しみ方がいくつも折り重なり、その存在感に圧倒されるものである。

そして日本のロックバンドのライブアルバム、その金字塔と言えば、1980年6月にリリースされたRCサクセションの『RHAPSODY』である。ハードフォークと言われた70年代の彼らがグラマラスなロックバンドに転身を遂げ、その姿が一気に全国区に広まった一因はこのアルバムにある。

ライブのスターティングナンバーとしてお馴染みの「よォーこそ」や世代を超え、今もなお日本のロック史に燦然と輝く「雨あがりの夜空に」などの完璧なまでのセットリストもさることながら、「上を向いて歩こう」が歌われる前の「日本の有名なロックンロール」という清志郎のMCも含め、当時のRCサクセションのダイレクトな熱量を体現し、“ロックバンドとはこういうものだ!” という、理屈では語ることのできない全てが凝縮されていた。

“KING OF LIVE” への道。1981年12月24日の武道館公演を実現!

『RHAPSODY』はキャパ1,000人程度の久保講堂でライブレコーディングが行われた。ここからRCサクセションの “KING OF LIVE” への本格的な道のりが始まったのだ。そしてこの約1年半後、彼らは初の日本武道館公演を果たす。

この度、この1981年12月24日に行われた武道館公演と、彼らの絶頂期と言ってもいい1983年の渋谷公会堂公演の映像が最新のアップグレーディング技術を施し配信されることになった。

この2本を見比べることで、RCサクセションというバンドが、80年代の初頭にどれだけ影響力を持ち、短い期間の中でどれだけ深化していったかが一目瞭然で分かる。さらには、スタジオレコーディングのアルバムには収めることのできない熱量が日本のロック史を変えていったという歴然たる事実を目の当たりにできるだろう。

1981年の武道館公演は、『BLUE』リリース直後ということもあり、ここに収録されている「ロックン・ロール・ショー」やギタリストのチャボ(仲井戸麗市)がメインヴォーカルをとる「チャンスは今夜」など、極上のグルーヴを兼ね備えたラウドなロックンロールを武器に本領を発揮し、1万人を熱狂の渦に巻き込んでゆく強靭さに満ち溢れている。

ちなみにこの年のRCサクセションは年間100本以上のライブを行い、その集大成がこの武道館公演であったから、そんなタフなロードで鍛え抜かれたライブバンドとしての強みが凝縮されていた。

特筆すべきは、清志郎が当時ロサンゼルスで観たというローリング・ストーンズの北米ツアーからインスピレーションを得たという緩やかな傾斜があるステージで転げ回り、走り回り、ペース配分などものともしない若き日の清志郎のエネルギーは『RHAPSODY』の久保講堂以上に、先へ先へと急ぐ性急さが感じられる。さらにライブバンドとしての頂点である武道館のステージを終着点とするのではなく、もっと先を見据えたような野心すら感じられた。

1983年の渋谷公会堂公演で見せたRCサクセション次のフェーズ

これに対し、1983年の渋谷公会堂公演は、次のフェーズに移ったRCサクセションを体感できることが非常に興味深い。

キティ時代の『PLEASE』、『BLUE』といった5人編成のロックバンドとして模索してきた日本語のロックンロールの独自性を、さらにロックの様式美とも言えるフォーマットに落とし込んだアルバムが移籍したロンドンレコードから1982年にリリースされた『BEAT POPS』であり、さらに、このフォーマットから一旦離れ、ハードフォークと言われた時代のエッセンスを注入し、原点回帰の側面も感じられる『OK』を1983年7月にリリース。

この渋谷公会堂公演は、この『OK』がリリースされる直前に行われている。つまり、アルバムごとの変化を経て、さらにレコード会社の移籍といった身辺の変化に伴い完成されたRCサクセションの生身の姿だった。

武道館公演と比べても、ダイレクトな熱量よりも、バンドとしての技巧的な部分の成長が目に留まるし、バラエティに富んだ楽曲ごとに見せるシンガー清志郎の表現力がプロフェッショナルの極みのように感じる。そして、「指輪をはめたい」や「お墓」といった、若き日の清志郎がしたため『OK』に収録されたナンバーからは、シンプルながらも洗練された新たなフェーズを感じずにいられない。

『BLUE』を最後にRCサクセションは、キティを離れ、ロンドンレコードと契約する。バンドの成長には変化が伴う。その中で試行錯誤した上でのひとつの到達点がこの渋谷公会堂公演ではないだろうか。

そして、この洗練された感覚は、東芝EMI移籍後8枚目のスタジオアルバム『FEEL SO BAD』へと繋がっていく。ライブバンドとしての軌跡は、日本のロック史の大動脈であると言っても過言ではないだろう。この機会の彼らの本領とも言えるライブステージと飽くなき変化の軌跡をたっぷりと楽しんで欲しい。

※編集部よりお知らせ

〜RCサクセションデビュー50周年プロジェクト Presents〜
RCサクセション「FIRST BUDOHKAN’81 and SUMMER TOUR’83 渋谷公会堂」Supported by ぴあ50th

初の武道館公演(1981)の爆音上映会が、2022年5月、東京・大阪・名古屋・札幌の4か所で開催され、その圧倒的なパフォーマンスと臨場感に多くの観客が歓喜!
この度、同公演に、渋谷公会堂での名演(1983)をプラスした、伝説のライブ2本立てが、配信決定しました!

▼ 配信日時:2022年8 月6日(土)18:00~ 約4時間予定
▼ 見逃し配信期間:2022年8月15日(月)23:59まで
※ライブ配信チケットをご購入の方は見逃し配信もご覧いただけます。
※期間中は何度でも視聴可能です。
※チケット販売は2022年8月15日(月)11:59まで

▼ 配信サイト:以下よりお好みの配信サービスをお選びいただき、詳細ページをご確認の上、チケットをご購入ください。
PIA LIVE STREAM / NHKグループモール

カタリベ: 本田隆

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