選抜完敗だった敦賀気比…チームを変えた新戦力 打線が活性化、福井大会制し夏の甲子園

福井大会優勝を決め、喜ぶ敦賀気比の選手たち=7月28日、福井県営球場

 今春の選抜高校野球大会1回戦の広陵(広島)戦。敦賀気比(福井)は3安打に抑えられ、0-9で完敗した。試合後に東哲平監督は「今のままでは甲子園は戦えない。競争してもらいたい」と新戦力の台頭を待ちわびた。夏となり、迎えた今回の全国高校野球選手権福井大会。春の選抜大会で控えだった選手がレギュラーをつかむなどして、打線が活性化。チーム打率は5試合で3割9分6厘と、4割に迫った。

 東監督の期待に応えたのは一塁手の細川叶人と右翼手の友田泰成。主に6番で出場した細川は「(3番の)春山(陽登)や(5番の)高見澤(郁魅)には、かなわない」と長打へのこだわりを捨て、打率重視に変えた。計8安打のうち長打は二塁打1本だったが、打率は5割7分1厘。主力ではトップを記録した。7番の友田は、2回戦の福井商業戦で公式戦初本塁打を放つなど、計8安打6打点とともにチームトップタイをマークした。準決勝の啓新戦では、一回に中前2点適時打を放ち、勝負強さも見せつけた。「レベルアップしてるし、もっといい打者になる」と東監督は評価する。

 当初からのレギュラーも力を発揮した。上加世田頼希と高見澤は8安打6打点。上加世田は北陸との決勝で五回に追加点となる右前適時打、高見澤は啓新との準決勝で先制の中前適時打を放ち、中軸としての役割を果たした。

 主に9番を担った渡辺優斗も打率3割5分3厘。決勝に先発出場した選手は全員が打率3割超と、打線に切れ目がなくなり、全試合で2桁安打を記録した。打順に関係なく得点できる打線は、相手を圧倒し続けた。

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 全国高校野球選手権福井大会は、ノーシードから勝ち上がった敦賀気比が頂点に立った。新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった第102回大会(2020年)を挟み、4大会連続11度目の夏の甲子園出場を決めたチームの姿に迫った。

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