高校野球 グッドルーザーの夏 冬を乗り越え成長した松下海斗(津久見3年)

全国高校野球選手権大分大会

準決勝 7月22日 別大興産スタジアム

明 豊 041 022 2|11

津久見 201 000 0|3(7回コールド)

ノーシードから勝ち上がった津久見の正捕手としてマスクをかぶり、クリーンアップとしてチャンスの場面で勝負強さを発揮した津久見の松下海斗。準決勝の明豊戦では7回コールド負けを喫したが、松下はこの試合の全打点を挙げた。敗戦が決まった瞬間はネクストバッターボックスにいた。「俺まで回してくれ」との願いは届かず、前の打者が打ち取られて試合終了。決勝戦を前に敗れ、松下の目から涙がこぼれた。「これまでの辛かったことや楽しかったことを思い出した」

藤丸崇監督が「新チームになり、一番指導したのが松下だった」と話すように、捕手として試合状況に応じた配球を一から学んだ。理解すればするほど野球の難しさを知る。思うように結果が出ない時期が続き、昨秋の大会が終わったときに責任を感じ、ポジション変更を希望したこともあった。藤丸監督の「今諦めてどうするんだ。冬を越せば必ずうまくなっている」との言葉を信じて踏みとどまった。

今大会は打撃でもチームを引っ張った

思うように配球を組み立て、投手をコントロールできるようになったのは春の県高校野球選手権大会でベスト8に入った頃からだ。松下は「イニングごとに、何が良くて、何が悪かったかをピッチャーと話してコミュニケーションを図った。自分のサインを信じ、思った通りの球を投げてくれるようになった」と話す。この頃から捕手として自信を深め、打撃にも好影響を及ぼし、「チャンスで一本打てるようになった」

高校最後の夏は頂点を目指した。「1年のときに先輩たちが特別大会で優勝する姿を見て、自分たちも優勝したいと思って頑張った。あと少しのところまで行ったけど遠かった」。試合が終わると、これまでバッテリーを組んだ石丸明翔(3年)と今山崚(同)の二人の投手から声を掛けられた。「お前がいないと、ここまで来ることはできなかった。ありがとう」。捕手としての最高の褒め言葉を聞いて泣いた。「この大会を通して配球を楽しめた。キャッチャーを続けて良かった」

捕手の楽しさを知った松下海斗

(七蔵司)

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