有害鳥獣の捕獲情報 「見える化」で効率向上へ 長崎県がアプリ実証実験

スマートフォンアプリを活用した有害鳥獣捕獲情報の「見える化」のイメージ図(県提供)

 イノシシなどによる農作物被害の対策を強化するため、長崎県はスマートフォンのアプリを活用した捕獲情報の「見える化」を進めている。市町ごとに情報を一元管理し、効率的な捕獲につなげる狙いのほか、市町職員の事務作業の負担軽減も見込む。
 県農山村振興課によると、有害鳥獣による2020年度の県内農産物被害額は約1億9千万円。その主要因とされるイノシシの捕獲数は全国上位の約4万8500頭だった。
 県は21年度、捕獲情報を集約する民間開発アプリの実証実験を20市町で実施した。本年度は西海や対馬など7市町に絞り込んで継続し、実用化を進めている。県の本年度一般会計補正予算に関係事業費約950万円を計上した。
 このアプリは、捕獲従事者が写真を撮影し、捕獲場所や固体情報をまとめて報告することで、各市町ごとに情報がマップ化される仕組み。わなや防護柵の効果的な設置など被害の未然防止に役立てる。また、現在は捕獲従事者が書類で報告し、市町職員が実績管理のためパソコン入力する手間がかかっているが、アプリ活用でその作業が省かれる。
 同課によると、県内の捕獲従事者は推計約1700人。21年度の実証実験では、うち141人の利用にとどまった。共有する情報を充実させるため7市町での効果を実証し、参加市町を再び増やしたいとしている。


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