“ルールに縛られない”高校野球 長崎5校で新リーグ「LIGA Agresiva」 幅広い視点で選手育てる 投球制限、飛ばないバット、指名打者制

守備タイム時にマウンドで選手たちに指示を送る長崎北の矢ケ部監督(左から3人目)=県営ビッグNスタジアム

 従来のルールに縛られない高校野球の新たなリーグ戦が長崎市で始まる。その名も「LIGA Agresiva(リーガアグレシーバ) NAGASAKI」。幅広い視点で選手を育てながら、指導力も上げていくことを目的に、投手の球数や変化球制限、低反発バット、指名打者(DH、DP)制などを導入する。秋の開催に向けて現在、プレ大会を実施している。
 「LIGA Agresiva」は選手の将来に焦点を当てて全国各地で行われており、参加校は年々増加中。長崎県では今回が初めてで、例年秋に開いている長崎西、長崎東、長崎南、長崎北、長崎北陽台の5校対抗リーグを移行する形でスタートする。
 投手の負担を減らすため、投球数は1日100球以内。球数に応じて休養日を設け、変化球の割合は25%以下、各打者に対して1、2球を推奨する。打者は低反発金属や木、竹製、トレーニング用など、いわゆる「飛ばないバット」を使用。大学や社会人など次のステージを見据え、確実に芯で捉えないと打球は飛ばず、投手にストライク先行で投げてもらう狙いもある。
 指名打者制のほか、ソフトボールの「リエントリー(再出場)」制も採用。多くの選手が経験を積めるようにする。本来は許されていないが、監督は守備タイム時にマウンドへ行け、攻撃時にコーチャーボックスに立てる。試合後は参加校の合同ミーティングで「うちだったらあの場面はこうだ」などと意見を出し合う。

試合後の合同ミーティングで意見を出し合う長崎西と長崎東の選手たち=県営ビッグNスタジアム

 プレ大会は8月8日まで長崎市の県営ビッグNスタジアムなどで開催。各チームは守備位置を極端に前にしたり、直球をしっかりと狙い打ちしたり、テーマを設定してプレーしている。監督陣も継投を含めて選手を積極起用しながら課題を探っている。
 発案者で長崎北陽台の大小瀬格二部長は「監督も選手も野球観が変わるんじゃないかと期待している。参加校が増えていけば、リーグの2部制や入れ替え戦など構想は無限にある。挑戦と失敗を繰り返しながら、既存のトーナメント大会にも生かしてほしい」と話す。
 事務局長で長崎北の矢ケ部和洋監督は「非常に面白い。選手たちが『はい』という返事だけではなく、考えて(ミーティングで)人前でしゃべる力もついてくれそう。いろんな目的があるから、投手が打たれても楽しかった」と今後の盛り上がりや効果に手応えを感じている。
 本大会は10月上旬~11月に長崎5校が各チームと2戦ずつの総当たりリーグで予定している。


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