<新型コロナ>医療機関へ強まる心ない言葉…陽性判明翌日で発熱中の知事“節度”求める 埼玉も「宣言」へ

オンラインで対策を説明する大野元裕知事=3日、県庁

 大野元裕埼玉県知事は3日、新型コロナウイルスに関する専門家会議と対策本部会議を開催し、政府が新設した「BA・5対策強化宣言」を県内全域に発出することを決めた。感染力が強いとされるオミクロン株「BA・5」による感染拡大の抑制と、逼迫(ひっぱく)する医療機関の負担軽減が狙い。期間は4~31日で、従来の感染対策の徹底を県民や事業者に要請する。

 大野知事は2日に陽性となったが、3日はオンラインで専門家会議に参加。会議後もオンラインで報道陣の取材に応じ、「熱は38.4度で喉が痛いが、気分は楽になった。人使いが荒い県庁なのでオンラインで仕事している」と少しかすれた声ながらも冗談を口にして職務を継続していることを示した。

 対策強化宣言では、基本的な感染対策の徹底や体調不良の際に外出を控えること、認証を受けている飲食店の利用などを求める。大野知事は「中身はこれまでのお願いと変わらない」としつつ、宣言の広報効果への期待と、宣言を発出する他県と足並みをそろえることを決定の背景に挙げた。

 また、新たに医療機関への配慮として、県が無料配布する検査キットやオンラインによる確定診断の利用を呼びかけた。さらに、医療機関への心ない言動が「逼迫前からあったが、傾向が強まっている」(大野知事)として、医療機関の厳しい環境を理解し、節度ある行動を取るよう求めた。

 事業者には、屋内の効果的な換気やテレワークなどによる接触機会の低減、職場の密度緩和を要請。一方、クラスター(集団感染)が出た学校などでは夏の暑さにより換気ができなかった場合があったとし、宣言に基づく要請とは別に、大野知事から教育委員会に換気の励行を働きかけるとした。

 病床については、重症病床の使用率が50%を超えれば現在の81床から90床に拡充する。中等症などの病床は今後2週間程度で、現在の1521床から医療機能を持つ宿泊施設を含む1670床に増やす。ただし、大野知事は「一般医療を犠牲にしてまでコロナ病床を増やす状況にはない」として、当面、「感染者急増時体制」の一つ前のフェーズ4に据え置く考えを示した。

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