長崎県酪農家2人が最優秀賞 九州生乳販連の生乳品質共励会 九州7県で1170戸参加 松谷さん(大村)、山口さん(諫早)

生乳品質共励会で最優秀賞を獲得した松谷さん(左)と山口さん=福岡市

 九州生乳販売農業協同組合連合会(九州生乳販連、福岡市)の2021年度生乳品質共励会で、長崎県内酪農家が3部門のうち2部門で最優秀賞を獲得した。諫早市の山口直敏さん(65)と大村市の松谷圭一郎さん(34)。
 生乳品質共励会は、酪農家の良質な生乳生産に対する意欲向上を図るため13年度から開き9回目。脂肪率や細菌数などの検査を月2回、年間計24回実施し、1200点満点で評価する。出荷乳量別で最も得点が高かった酪農家が最優秀賞となる。
 21年度は九州7県の1170戸が参加した。山口さんは1200点満点で全体トップとなり、1部(250トン未満)で最優秀賞。松谷さんは1183点で2部(250トン以上500トン未満)の最優秀賞だった。2人とも毎年上位に入賞し、これまでも最優秀賞を受賞したことがある。
 7月27日に福岡市で表彰式があった。式後の取材に山口さんは「乳質を維持するにはコストがかかり厳しいが、質を落としたくないというプライドがある」、松谷さんは「乳成分から牛の状態を把握し、餌などを細かく調整する作業を365日する。大変だが牛の健康や質の維持には必要」と話した。
 酪農を巡っては、ロシアのウクライナ侵攻や急激な円安などで乳牛の餌となる配合飼料が高騰し、経営を圧迫している。九州生乳販連は酪農がかつてないほど厳しい状態にあるとして、大手乳業メーカーに対し生乳価格の年度途中での引き上げを求め交渉。飲用向け・発酵乳向けの生乳価格を11月出荷分から1キロ当たり10円値上げというメーカー側の回答を受け入れた。ほかの地域の団体も同様の合意をしているとみられる。
 九州生乳販連の中村隆馬代表理事会長(県酪農業協同組合連合会代表理事会長)は、「餌代の高騰で酪農家は経営ができる状態ではない」と危機感を示す。中村会長は「消費者には酪農家の状況や思いを理解してもらえるとありがたい。九州のおいしい牛乳を積極的に飲んでほしい」としている。


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