モータースポーツの世界選手権が国内で再開へ。3年ぶり開催の鈴鹿8耐におけるコロナ対策

 三重県・鈴鹿サーキットで8月4~7日に開催される『2022FIM世界耐久選手権(EWC)“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会』。2020・2021年は新型コロナウイルスの影響で中止されたが、3年ぶりに開催される。国内でもモータースポーツの世界選手権は3年ぶりとなるため、開催実現に向けて様々なコロナ対策が施されている。

 2020年と2021年の2年、鈴鹿8耐は新型コロナが原因で開催が中止された。2020年は「国内外における新型コロナの感染拡大状況や各地域での防止対策、海外からの渡航に関する規制解除の見通しが立っておらず海外チームの入国が難しい」こと、2021年は「国内チームと海外チームが混在しており、防疫のための活動単位(バブル)運用が困難であることや、現段階で海外関係者の日本入国が見込めない」ことが原因だった。

 F1日本GPやMotoGP日本GPも細かい理由は異なるが、新型コロナが原因で開催ができなくなってしまった。そして、2022年は開催実現のため、鈴鹿8耐は海外チームを含めて世界選手権として開催を目標に、諸条件に合わせて開催できるよう対策や準備が行われている。

8耐、4耐、レーシングサービスなどエリアが分けられた/2022鈴鹿8耐

 今年は暫定エントリーリストにあったMOTO AINやWojcik Racing Teamを含むフル参戦チームも参戦を予定していたが、日本への渡航と輸送に必要な費用が以前の約3~4倍であるため、必要な予算の問題で出場を断念。国内チームのTeam Frontier、Team KAGAYAMA、TEAM SUGAI RACING JAPANの3チームも参戦ができなくなったが、これは新型コロナの感染対策が関係している。

 海外国籍選手は、『-1.特別規則書の参加資格を満たすこと』、『-2.所属チームがEWC年間契約チームもしくは主催者推薦チームであること』、『-3.ホンダモビリティランドが招聘手続きを行っていること』の条件にすべて適合する場合に限り参加が認められることになった。

 Team KAGAYAMAはチームの理由のようだが、外国人ライダーとスタッフの起用を予定していたTeam FrontierとTEAM SUGAI RACING JAPANは参戦を辞退したのではなく、この条件に満たないため参戦ができなくなってしまったのだ。

 Team Frontierはプレスリリースを発行して参戦断念の理由を発表(https://www.as-web.jp/bike/832994)したが、正しくは上記の条件に適合しなかったためだ。TEAM SUGAI RACING JAPANにおいては須貝義行と外国人ライダーとスタッフも起用して参戦予定だった。また、須貝は昨年の全日本ロード第2戦鈴鹿2&4レースで怪我を負い、以降のレースは欠場していたが、今回の鈴鹿8耐で復帰の準備を進めていたところだった。

 これにより最大65チームが参戦できるはずだった鈴鹿8耐だが、予算やコロナ対策など様々な理由でエントリーは45チームとなった。

8耐パドック入場の際に検札でバーコードが行われる

 また、レースウイークには、パドック内に入場する全員が事前に2度の体調確認報告、入場の72時間以内のPCR検査もしくは抗原検査の陰性証明が必要となる。

 ウイーク中は、サーキット外でも『地域住民の方々への感染リスクを極力低減させる行動』、お客様エリアとパドックを行き来できないようにする防疫、ピット間でも『チーム間などの往来の禁止/制限』などが要請されている。

 さらに、4度行われるピットウォークでも関係者とファンの間に距離を設けられており『ノベルティ配布や握手会など接触を伴うファンサービス』、『ライブパフォーマンスなど大声を伴うイベント』はできない。車両展示、接触を伴わない写真撮影は可能ではあるが、制限はされている。

 ホンダモビリティランドとしては、同サーキットで行われるF1日本GP、モビリティリゾートもてぎで開催されるMotoGP日本GPでも各種対策を講じて開催に向けて準備がされている。

 新型コロナの感染者数が増加しているなか、以上の対策があることで、久々に国内でモータースポーツの世界選手権が開催される。無事開催が終了し、F1やMotoGPに繋がるレースとなることを祈りたい。

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