本当に大切なことに気づく。小川洋子のエッセイ集『カラーひよことコーヒー豆』

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『カラーひよことコーヒー豆』

作家の小川洋子が日々の暮らしや懐かしい思い出、好きな本のことなどを綴ったエッセイ集。心温まる31篇を収録しています。

カラーひよことコーヒー豆
著者:小川洋子
出版社:小学館

小説を書き、ご飯を作り、犬と散歩をする。小川洋子さんの一日はあっという間に過ぎていく。それだけで十分。ほかになんにもいらない。

「私の小さな世界を映し出した」という本書には、さまざまな楽しみに満ちた日常が綴られている。たとえば、料理の喜びについて。著者は「夕方のスーパーで忙しく買い物をしている人たちを観察する」のが楽しみだという。一生懸命に買い物をする人たちに交ざりながら、皆が家に帰り、台所に立ち、家族や自分のために料理をする姿を思う。

また、ある料理が幸せな記憶を呼び起こすこともある。味噌汁に入れる豆腐を掌の上で切っているときに、いつも思い出すのは幼い頃の息子のこと。お味噌汁にまつわる懐かしい風景とは——。

息子さんが就職し家を出て、買い物の量が減った。「早起きしてお弁当を作ったり、晩ご飯の支度のため転がるようにして外出先から帰宅したり、取材旅行の前にせっせとカレーを作って冷凍していた頃の、あのどたばたとした時間が何と幸福であったことか」この言葉が胸にしみました。

今日がまた明日へとつながっていく。それが当たり前ではないと知ったとき。人生の本当に大切なことに気づかせてくれる一冊です。

小川洋子さんのエッセイ、以前ご紹介したこちらもぜひどうぞ。
『とにかく散歩いたしましょう』

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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