キャデラックLMDhは「すでにDPiと近いレベル」とブルデー。開発初期テストでの感触に好印象

 チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)のセバスチャン・ブルデーは、現在キャデラック陣営が開発している新型LMDhマシンが「すでに(現行レースカーと同じ)ウインドウにいる」と感じており、車重の増加とハイブリッドパワーという違いがあるにもかかわらず、キャデラックDPi-V.Rと大きな違いが感じられないことを認めた。

 CGRから2022年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権DPiクラスに参戦しているブルデーは先月、セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われたダラーラ製プロトタイプカーの開発テストに参加。そこで実際にマシンを走らせた彼は、まだ開発の初期段階であるにもかかわらず、ポジティブな印象を受けたという。

 キャデラック・プロジェクトGTPハイパーカーと呼ばれる、来季のIMSA GTPとWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスを戦うマシンは、7月7日にウィスコンシン州のパットナム・パークでシェイクダウンが行われ、ここではアール・バンバーがステアリングを握った。

 その後、キャデラック陣営のチームはセブリングに移り、5日間にわたるテストでCGRの4名のドライバーがテスト車両をドライブした。

 その内のひとりとして共通ハイブリッドシステムが搭載された次世代プロトタイプカーを走らせたブルデーは、「それは本当にエキサイティングだった。新しい時代の始まりだ」と語った。

「このクルマはドライブするのが本当に楽しい。新しいパワープラントにパワーユニット、そして新たなレギュレーションによってダウンフォースもグリップレベルもパワーのバランスも、すべてが(これまでと)異なるパッケージになっているんだ」

「とてつもなくクールだよ。クルマに乗るのが楽しみだった。そこで何が見られるのかが楽しみで仕方がなかったんだ。本当にアメイジングさ」

「新しいクルマに乗りこむと、そこは以前とはまったく異なる環境になる。当然のことながら必要なエレクトロニクスはすべて揃っている」

「クルマは本当によくできているよ。セットアップも何もしていない状態でコースに出たが、ドライブするのが楽しかったし、ラップタイムもすでに興味深いものだった。僕たちは皆とても興奮していた。そして将来を楽しみにしている」

「(LMDhカーは)DPiマシンとかなり違うと思っていたけど、少なくともフィーリングの点ではそれほど大きくは変わらなかった。このクルマをもっと進歩させるために、もっとマイルを伸ばしていくことが楽しみだ」

■プジョーLMP1時代とはまるで違うスタート

 プジョー908とペスカローロのLMP1マシン開発に携わったブルデーは、このふたつのフランス車とキャデラック・プロジェクトGTPハイパーカーの出発点は比較にならないと述べた。

 43歳のフランス人は、2016年から2019年にかけて行われたフォードGTのLMGTEプログラムにも参加していた。そうした豊富な経験を持つ彼は、「新しいクルマはどれも違うが、最近のクルマは以前にも増してたくさんのツールがあるように感じる」と語った。

「(キャデラックの新型LMDhカーは)ギアボックスとエンジンが完全に機能し、まるで通りにドライブに出かけるようなものだった。クルマがトラックに出れば、もうすでに(レース)ウインドウの中にいるような印象だ」

「僕はかつてプジョーの開発フェーズに参加していた。その時(のクルマ)は本当に荒く、そして生々しく、多くの変更を加えなければならなかった」

「だけど今回はまったく違う。クルマはすでに(DPiと)近いところにあり、フィーリングもポジティブだった。僕はまたあのクルマに戻るのをすごく楽しみにしている」

2022年のIMSA DPiクラスでランガー・バン・デル・ザンデ(左)と組み、01号車キャデラックDPi-V.Rをドライブしているセバスチャン・ブルデー(右)

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