「BA・5対策強化宣言」発令 20代軽症者に検査キット配布も 今月いっぱい

「BA・5対策強化宣言」の発令について説明する福田知事=4日夕、県庁

 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、県は4日、対策本部会議を開き、政府が新設した「BA・5対策強化宣言」を5日に発令することを決めた。高齢者や持病のある人に混雑した場所などへの外出自粛を要請する。医療提供体制への負荷が高まる中、発熱外来の受診者を減らすため、重症化リスクの低い20代の軽症者に抗原定性検査キットを配布することも決めた。対象は県内全域、期間は31日まで。

 県内では4日、新たに計3371人の感染者が確認され、過去最多を更新した。宣言は都道府県が自主的な判断で発出し、罰則を伴う私権制限はない。宣言を受け政府は同日、栃木、千葉、京都、宮崎、沖縄の1府4県を「BA・5対策強化地域」に指定した。

 お盆の時期の帰省などで高齢者らと会う場合、事前に検査を受けることも求める。飲食時は十分な換気や2時間程度を目安にするといった基本的な感染対策の継続、早期のワクチン3、4回目接種も引き続き促進する。

 発熱外来の逼迫(ひっぱく)を回避するための検査キットの配布は8日の週から実施する予定。申請に基づき県が自宅へ配送する。一部医療機関では、陽性者に同居家族分のキットを配る。

 医療提供体制の強化に向け、今月上旬に新たに10床程度の病床を確保するほか、中旬には県南に50床程度の臨時医療施設を開設する。確保病床は計約640床になる見込み。災害派遣医療チーム(DMAT)による救急搬送者のトリアージ(優先順位の選別)を全県で取り入れ、救急医療の効率的な活用を目指す。

 無料検査拠点は、JR宇都宮駅に加え小山駅にも設ける。宇都宮駅は5~18日の午前8時~午後6時、小山駅は10~18日に開設を予定している。

 会議後の記者会見で福田富一(ふくだとみかず)知事は「社会経済活動を維持しながら医療逼迫を回避する。県民一人一人がいつも以上に基本的な感染対策を徹底してほしい」と訴えた。

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