最低賃金30円上げ 長崎の審議会で労使が意見 今月中旬に答申見通し

 長崎地方最低賃金審議会(会長・松本睦樹長崎大名誉教授)の第3回本審が4日、長崎市内であった。本年度の本県の最低賃金(最賃)引き上げ額の目安を30円とした中央審議会の答申について、労使がそれぞれの立場で意見を述べた。労働者側が「最賃近傍で働く人たちの労働条件に資する」と一定評価する一方、企業側は「引き上げの強制は、廃業や事業停止につながる」と懸念を示した。
 中央審議会は2日、厚生労働相に引き上げ額の目安を答申。地域の経済情勢に応じたランク別に提示し、本県は30円とした。現在の県内最賃は全国で2番目に低い821円。
 連合長崎関係者は「物価上昇に悲鳴を上げている労働者に賃上げを波及させることは社会的要請」と強調。最賃の地域間格差が労働力の県外流出の一因と主張し、「特に賃金水準が低い本県では最賃の引き上げが不可欠」と述べた。
 県経営者協会関係者は「物価高は労働者だけでなく、使用者にも影響がある。(目安答申は)労働者側のみに配慮している」と反発。若者の県外流出の原因は最賃ではなく、県民所得の低さや経済基盤の弱さにあるとの見方を示した。
 今後も審議を続け、遅くとも8月中旬には長崎労働局長に答申する見通し。


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