魅力アップ 瀬戸芸夏会期が開幕 宇野港や小豆島、新たに19作品

日之出公園の金氏徹平さんの新作「S.F.(Seaside Friction)」を鑑賞する美術ファン

 岡山、香川両県の島々を現代アートを道しるべに巡る「瀬戸内国際芸術祭2022」(瀬戸芸、香川県などでつくる実行委主催)の夏会期が5日始まった。新たに19作品が加わり、魅力を増した会場に、夏休みの家族連れや美術ファンらが繰り出した。

 夏会期は犬島(岡山市)、宇野港(玉野市)、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、高松港(以上香川県)の7島2港に計158点を展示。この日は新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、国立ハンセン病療養所のある大島を除く8会場で幕開けした。

 新作2点が加わった宇野港会場では、JR宇野駅などで新型コロナ感染防止対策の検温や体調確認のチェックを受けた来場者が次々と展示場所へ向かった。

 玉野競輪場近くの日之出公園に登場した美術家金氏徹平さんの「S.F.(Seaside Friction)」は、競輪場のメインスタンド建て替えで不要になった観客席の3色の座面を組み合わせた立体作品。「変わっていて面白い。公園から見える景色もきれいで瀬戸内感があっていい」と兵庫県姫路市から夫婦で訪れた男性会社員(52)。

 入国制限緩和を受け、6月から現地制作した海外作家の作品もお目見えした。小豆島の中山地区には、2010年の初回から参加する台湾の美術家王文志(ワン・ウェンチー)さんの竹のドーム「ゼロ」が出現。竹を組み上げた直径約15メートルの球体の中に入り、差し込む光や周囲の棚田の景色を鑑賞していた神戸市の女性会社員(32)は「自然の安らぎに包まれ、コロナで疲れた心が充電されていくようです」と話していた。

 大島は15日から公開。夏会期は9月4日まで。

吹き込む風も心地よい王文志さんの「ゼロ」の中でくつろぐ人たち=小豆島
宇野港で新作「本州から見た四国」を鑑賞する来場者

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