マンション管理計画認定制度 相談ダイヤルで取り組みを後押し(下) 日本マンション管理士会連合会 副会長 森 健一

マンションストックの適正な管理が社会問題にも挙げられる中、地域ごとの課題に向き合い存在感が増している管理士会・管理士の活動を日本マンション管理士会連合会に所属する全国のマンション管理士会の協力を得て紹介していく。今回は、日管連が担う管理計画認定制度相談ダイヤルの状況をレポートしてもらう。

マンション管理計画認定制度 相談ダイヤルで取り組みを後押し(上)より続く

相談者は、管理組合の役員・組合員と管理会社社員がもっとも多くなっています。管理計画認定制度の認定申請は、新築マンションを対象とする予備認定が既存マンションよりも先行しており、マンション管理センターのホームページに公表されている認定マンション数は既に71件に上っています(6月14日現在)。予備認定は、分譲会社と予定管理会社が連名で申請することから、管理会社からの相談が多くなっているとも考えられます。分譲会社からは「予備認定を取得したが、住宅金融支援機構のフラット35の金利引き下げに関する手続きについて教えてほしい」などの相談がありました。

既存マンションからの管理計画の認定申請は、マンション管理適正化推進計画を作成済みの自治体が限られているためか、日管連での事前確認業務はまだありません。しかし、日管連への「マンション管理適正化診断サービス」申し込みにあたって、管理計画認定支援サービスの登録申請を併せて希望する管理組合が増えています。今後、自治体の適正化推進計画作成が進めば、さらに増えてくると思われます。

自治体の独自施策も相談ダイヤルで説明

ちなみに国土交通省が今年2月、255自治体を対象に実施した適正化推進計画の作成意向調査によれば、政令指定都市(20市)の100%、中核市・特例市(66市)の52%、東京23区の65%、都道府県の53%が、今年度中に適正化推進計画を作成する意向だと回答しています。

相談ダイヤルには、行政からの相談や問い合わせもあります。ある政令指定都市からは、「当市は上乗せ基準を設定しているが、独自基準に関する相談にはどう対応するのか」という問い合わせがありました。日管連や会員会では、各自治体の管理計画認定制度の開始時期、独自の上乗せ基準、手数料などについてホームページなどで情報を集めて対応し、問い合わせにかかわる行政の負担を少しでも軽減するよう努めています。相談者の中には、自治体に問い合わせたところ、日管連の相談ダイヤルを紹介されたというケースも徐々に多くなっています。

今は相談ダイヤル開設から間もなく、周知が十分ではないためか、相談件数はそれほど多くありません。しかし、全国の会員会を通じて本事業の周知を図っており、相談ダイヤルが管理組合、管理会社、マンション購入予定者などの管理計画認定制度への理解・関心を高める一助となればと願っています。

2022/7/5 月刊マンションタイムズ

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