「胸を失うくらいなら、もう何もしないで天寿をまっとうしよう」そこから復活できたわけ 両側乳がんになりました158

次の誰かのためにと綴っています。

今回お話を伺ったのは、2008年に両側(りょうそく)乳がん告知を受けた真水美佳さん。

アラフォーでの告知。右側は乳房全摘出、左側は乳房温存。全摘した方は穿通枝皮弁で再建しました。

「胸を失うくらいなら、もう何もしないで天寿をまっとうしよう」とまで思い詰め、「胸を失いたくない」という思いから、どうにか切らない方法はないかと必死で情報を探し続けて、手術難民になったほど。

手術前に乳頭・乳輪は残らないかもしれない、と言われたものの、残ったときはよかったと思ったといいます。

『温存でできるだけ残したいという方もいらっしゎいますが、人それぞれだけれども自分は右胸を全摘して、穿通枝皮弁で再建してよかった』と振り返ります。
温存した左側もきれいに温存してしてもらっていて、腕を上げなければ傷はわかりませんと話します。

その後「再建後の様子が実感できる写真集を作りたい!」と出版。話題ともなりました。

医療者にも患者にもまだまだ乳房再建に関する情報が足りないと痛感した真水さんはNPO法人『エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)』を立ち上げました。サイトでは乳房再建についてや術前・術後のお役立ち情報、乳房再建医や経験者の声、そして疑問に応えるQ&Aなどが掲載されています。

この法人を立ち上げて、今年で10年になります。

※乳房再建手術ハンドブック
https://www.e-bec.com/handbook

真水さん『活動を始めるときに前にいた会社の上司に”社会のために”ではなくて、”自分のためにやりなさい”と言われたんです。最初は意味がわからなかったんですけど、活動を始めて、自分のためってよくわかったんです。(セミナー企画や代理店の仕事を経験し、)過去の仕事も役にたっているし、企画を立てて、実行することが性にあっていて、自分が好きでなければなかなか続かないです(笑)。大きくなってきたので、途中でやめるわけにはいかないですし。』

WEBサイトなどでの乳房再建関連の情報発信、さらにコロナ前までは乳房再建に関する数々のセミナーを実施してきました。

『泣きながらその場にきたり、聞きながら涙するひともいる。でも最後には、ありがとう、とニコニコして帰っていく姿を見るとうれしく。みなさんからチカラももらっているのです。だから続けられる。ひとりじゃできないですし、その後の結果報告や新しく活動始めたよ、なんて話を聞くとこの活動を続けてきてよかったと思います。』

2020年からは富山、大分、松山などで小さなスモールミーティングということで開催を計画、地方の情報不足を感じての行動でした。コロナ禍ではオンラインにシフトしてしまいましたが、その地方ミーティングに全国から海外からもアクセス、カタチを変えて続けてやりたいと準備中です。

現状で、乳房全摘している人で再建をしているのは17%、全摘と温存の方を混ぜると再建をしているのは全体の9%あまり。まだまだ選択肢として挙がってこない現実があります。

会でよく聞こえる声としては
『主治医に再建の相談して、形成外科医につないでもらえず、ココロ折れる』

イベントには乳がん手術前の人が半分。悩んでいる人が多いといいます。

『情報の格差はあると感じています。乳腺外科の先生から形成紹介してもらえないとか、乳腺の治療に専念、と言われてしまって2,3年後と言われたり。そうするとタイミングを逃してしまう。みなさん控えめなので、紹介状書いて別のところへ、とかセカンドオピニオンとはなかなか言えないのもあると思います。』

『地方にいくと保守的なところが多いですよね。リアルミーティングだと、知り合いに会いたくないという声も。やってみると、自分と関係ない地方に参加する方も多いのです。だから、ウエビナーなら、顔も出ないし、ハードルが下がる』

10月にオンラインセミナー

10月からはオンラインで乳房再建の全国キャラバンをやろうと思っているそうです。
10月22日(土)神戸の神鋼記念病院の形成外科の先生がご登壇。その地域でやっている先生からお話をしてもらうことでその周辺の地域に住む人の情報過疎を防ぎたいという思いがあります。

『自分じゃないと自分は助けられない。自分のことはほめてあげましょう。自分の味方は自分。』と真水さん。

この週末のジャパンキャンサーフォーラムの中で『乳房再建セミナー』を8月7日(日)12時から開催。
https://www.e-bec.com/archives/event/event12918 (要事前申込・無料)

まずは知ることから、です。

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