2022鈴鹿8耐の暫定ポールポジションはTeam HRCが獲得。長島哲太が圧巻の2分04秒台を叩き出す

 8月5日、三重県の鈴鹿サーキットで『2022 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会』(鈴鹿8耐)の予選1回目、2回目が行われ、両セッションともにTeam HRC(長島哲太/高橋巧/イケル・レクオーナ)が総合トップに立ち暫定ポールポジションを獲得している。

 鈴鹿8耐の公式予選は、エントリーする3人のライダー中ふたりが記録したベストタイムの平均で争われ、予選上位10チームが決勝グリッドトップ10およびポールポジションを賭けてタイムを競う土曜日の“トップ10トライアル”に進出することになる。

 予選1回目は12時10~30分までがライダーブルー、12時45~13時05分までがライダーイエロー、13時20~40分までがライダーレッドで、それぞれ20分間のセッションが行われた。午前中のフリー走行終了時点では厚い雲が上空を覆っていた鈴鹿サーキットだったが、予選1回目では晴れ間も見え気温28度、路面温度38度のなかドライコンディションで予選が開始された。

 まず始まったライダーブルー予選では、セッション開始直後にS-PULSE DREAM RACING・ITECの生形秀之が2コーナー立ち上がりでマシンストップ、続いてTeam de”LIGHTの奥田貴哉が200Rシケインで転倒を喫してしまうが、予選には影響することなくセッションが続けられる。

 まずトップタイムを出したのは、午前中のフリー走行も首位で終えているTeam HRCの長島哲太だ。公式テストからトップタイム連発の長島はまず2分06秒659というトップタイムを記録すると、その直後に2分04秒942という圧倒的なタイムを叩き出し自身のトップタイムをさらに更新する速さを披露する。

 その後も長島のタイムの上回るマシンは現れず、TeamHRCの長島が2番手に1.196秒差をつけてブルーライダー予選トップに。2番手にYART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCのマービン・フリッツが2分06秒138、3番手にAstemo Honda Dream SI Racingの作本輝介が2分06秒393で続いた。なお、ゼッケン1番をつけるYoshimura SERT Motulはシルバン・ギュントーリをブルーライダーに登録していたが、コースインせずにセッションを終えている。

 続くライダーイエロー予選では開始から4分ほどでSDG Honda Racingの榎戸育寛がデグナーひとつめで転倒を喫するもセッションは続行。そのなかでまずトップタイムを記録したのはAstemo Honda Dream SI Racingの渡辺一馬が2分06秒801をマークするも、直後にKawasaki Racing Team Suzuka 8Hのアレックス・ロウズが2分06秒204を記録してトップに立つ。

 しかし、その後もタイム更新合戦が続き、YART – YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCのニッコロ・カネパが2分05秒863を叩き出しロウズを上回り0.341秒差でトップに。その後にはここまで絶好調のTeam HRCの高橋巧が2分06秒494を記録して3番手に浮上してくるとセッションは終了時刻を迎え、YART – YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCがライダーイエロー予選をトップで終えた。

 予選1回目最終セッションとなるライダーレッド予選のスタート時刻には再び上空を雲が覆い、西コースのスプーンからポツりと雨粒が落ち始めるなかでセッションが開始された。その開始直後、S字コーナーでYART – YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCのカレル・ハニカが転倒を喫すると、ヘアピンのカメラにも確認できるほどの雨粒が付き始める。

 ライダーたちは天候が不安定ななか走行を続けるも、次第に東コースのS字区間でも雨が落ち始め、反対側の西コースは完全なウエットコンディションに。そして多くのライダーがマシンをピットへと戻すなか、数台のマシンがレインタイヤを履いて走行を開始し、序盤に転倒を喫したYARTヤマハもレインタイヤを履いたTカーでチェック走行のためにコースに出ていく。

 セッション終盤にはそんなレインタイヤ勢をあざ笑うかのように太陽が顔を出し、レインタイヤを履いたYoshimura SERT Motulの渡辺一樹が一時トップに立つもタイムは2分21秒867に留まる。しかし、そのタイムをドライタイヤを履いたTEAM KODAMAの長尾健史が上回り2分11秒184で首位に立つと、最終盤にF.C.C. TSR Honda Franceのマイク・ディ・メリオが2分10秒556を記録し逆転トップでライダーレッド、そして予選1回目は終了となった。

■予選2回目もTeam HRCの勢いは止まらず長島が全体トップ

 公式予選2回目は15時50分~16時10分がブルー、16時25~45分がイエロー、17時00~20分がレッドで1回目と同じく3セッションが20分間行われた。夕刻を迎えた鈴鹿サーキット上空は晴れ間が見えるもののピットレベルではポツりと雨粒が確認できるなか、気温28度、路面温度34度で予選2回目のスタート時刻を迎えた。

 まず最初のライダーブルー予選はドライコンディションでセッションが開始。コース状況が変わらない内にタイムを出すべく、ピットシグナルがグリーンに変わった瞬間に各マシンが一斉にコースに出ていく。コース上のマシンたちがウォームアップラップを完了させていくなか、予選1回目のブルーライダー予選で圧倒的なタイムを記録したTeam HRCはウェイティング後のセッション開始4分経過で長島がピットを離れる。

 ブルーライダー予選でまずトップに立ったのは、BMW M1000RRを使用するBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMのマーカス・ライターベルガーが2分07秒143を記録して首位に。しかし、直後に2022年鈴鹿8耐の予選日を制圧する速さをみせるTeam HRCの長島が2分07秒003をマークして、またしてもタイミングボードの先頭に躍り出る。

 さらに長島は計測4周目に自身のタイムを上回る2分06秒675という全体ベストを記録し、2番手BMWとの差を0.468秒に広げる。セッションはそのままフィニッシュとなり、Team HRCの長島が唯一の2分06秒台を記録してトップ、2番手にBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMのライターベルガー、3番手にYART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCのマービン・フリッツが2分07秒760で続く結果になった。なお、ブルーライダーにギュントーリを登録しているYoshimura SERT Motulはこの2回目のブルーライダー予選も走ることなくセッションを終えている。

 日が傾き始めた16時25分に開始されたイエローライダー予選では、セッション開始6分ほどでスプーンカーブから雨粒が到来。ポストから降雨を知らせるレッドクロスが降られるなか各ライダーはアタックを続行し、F.C.C. TSR Honda Franceのジノ・レイが2分07秒326をマークして首位に浮上してくる。2番手にはSDG Honda Racingの榎戸が2分07秒840で続き、Honda Dream RT SAKURAI HONDA日浦大治朗が2分07秒880という僅差で続き、雨が少し強くなったこともあり、各マシンともセッション序盤の自己ベストタイムを更新することはできず、そのままイエローライダー予選2回目はフィニッシュとなった。

 そして予選1回目と同様に雨粒がコースに落ちるなかで始まるかと思われた2回目のレッドライダー予選は、セッション開始直前に雨が止み、完全に日が傾いた17時にスタートを迎えた。だが、マシンのライトがコースを照らしながら幻想的に走行を続けるマシンに触発されたのか、再びスプーンカーブに雨粒が落ちてくる。幸いにも路面を濡らすまでには至らずに各マシンがウォームアップラップを終えてアタックに入っていく。

 しかし雨はコース全域に降り始め、1~2コーナーの進入でコースアウトするマシンも現れる。1周のタイム計測のみを行い多くのライダーがピットにマシンを戻す。その後も雨は弱まることなく、TOHO Racingの國峰啄磨が序盤にマークした2分11秒631がレッドライダー予選2回目の最速タイムとなった。2番手にはYoshimura SERT Motulの渡辺が2分12秒432で続き、3番手は2分14秒031というタイムを記録したNCXX RACING with RIDERS CLUBの井手翔太という結果になっている。

 これで2022年の鈴鹿8耐は2回の公式予選を終え、現時点の暫定ポールポジションはTeam HRCに決定した。なお、20時現在で予選の総合結果はまだ発表されておらず、明日のトップ10トライアル進出チーム、マシンは追って伝える。

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