福井県南越前町に記録的大雨、鹿蒜川氾濫し集落浸水 災害派遣の自衛隊が住民救助、8月5日まとめ

鹿蒜川(右)が氾濫し濁流に覆われた集落=8月5日午後1時45分ごろ、福井県南越前町今庄(福井新聞社ヘリから撮影)
福井県内の降り始めからの総雨量

 福井県内は8月5日午前、発達した積乱雲が次々流れ込み、丹南と嶺南東部を中心に1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降った。南越前町今庄地区で鹿蒜川(かひるがわ)が氾濫し、床上浸水した住宅に住民が取り残され、災害派遣の陸上自衛隊などが救助した。同町内ではJR北陸線の線路が複数箇所で冠水。北陸自動車道と国道8号も土砂の流出が相次ぎ、嶺北と嶺南を結ぶ交通網が寸断された。福井県は南越前町への災害救助法の適用を決めた。

 気象庁は同日明け方から朝にかけて、「記録的短時間大雨情報」を南越前町に3回、敦賀市に1回発表。同町今庄では同9時20分までの24時間雨量が405.5ミリと平年の8月1カ月分の2倍超に達し、同地点の観測史上最多を更新した。県によると、同町荒井では同10時までの24時間雨量567ミリを観測した。

 同町は町内全域に避難指示を出した。日野川の水位上昇などを受け、越前市は市内10町内に、鯖江市も7地区に避難指示を出した。2市1町の避難指示対象は約2万7800世帯、7万5600人となった。

 南越前町によると、鹿蒜川の氾濫で上新道、下新道、南今庄、大桐、二ツ屋、孫谷の計6集落で浸水被害が発生。県の派遣要請を受けた陸上自衛隊鯖江、金沢駐屯地の部隊計約60人が午後から現地入り。南越消防組合によると、逃げ遅れた住民少なくとも約30人が救助された。町内の床上浸水は少なくとも140軒に及び、床下浸水も多数発生。町内263戸が断水しているという。

 県は4日設置した災害対策連絡室を災害対策本部会議に格上げした。5日夕に開かれた第2回会議には、岩倉光弘・南越前町長がオンラインで参加し、各集落につながる道路の復旧を要望。町内を通るJR北陸線、北陸道、国道8号についても「一日も早く復旧を」と訴えた。災害救助法の適用により、避難所の設置や運営などにかかる経費は国と県で負担する。

 農林水産関係の被害では、県が午後3時半時点で福井、大野、勝山各市のソバ畑154ヘクタールで冠水や浸水を確認した。水田への濁水や土砂の流入も各地で発生しており、県やJAが被害状況の把握に追われている。

 勝山市、大野市、福井市、鯖江市、越前市、越前町は5日夜までに避難指示などを解除した。

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