第7波で病床使用率「100%超」 佐世保市総合医療センター 基幹病院の負担急増

一般病棟で新型コロナの感染疑いがある入院患者の対応に追われる看護師=佐世保市平瀬町、市総合医療センター

 新型コロナウイルスの流行「第7波」が爆発的に広がり、佐世保県北医療圏の中核を担う佐世保市総合医療センターでは先月下旬から感染者の入院が激増している。コロナの確保病床だけでは間に合わず、一般病床を使う事態となり、使用率は「実質100%を超えた」。過去に満床となった経験はなく、負担が急増する現場はかつてない危機感を募らせている。
 2日、一般病棟の通路に「立入禁止」と記した紙を貼ったついたてが置かれていた。入院患者のコロナ感染が疑われたため、看護師は院内感染に最大限の注意を払いながら、その場での対応に追われた。
 同センターは、一般とは別の病棟をコロナ専用とし24床を確保。中等症以上を主に受け入れている。コロナ病棟は7月中旬ごろまでは半数程度の使用で収まっていたが、8月に入ると満床に。一般の患者が入院後に陽性となるケースが相次ぎ、一般病床まで使わざるを得ない状況となった。
 病床逼迫(ひっぱく)は急性期医療にも影響している。緊急手術が必要な重症者らが感染した場合、当面は集中治療室(ICU)で療養を続ける。約10床分のスペースのうち半分以上をコロナの対処に当てている。
 高度医療を提供する同センターには、既往症がある通院患者がもともと多い。これまでは、コロナ入院患者の容体をできるだけ早く安定させて転院を進め、重症化しやすい高齢者や既往症がある人、妊婦らのために病床を温存してきた。しかし、第7波でこのサイクルが崩れた。
 県によると、県全体のコロナ確保病床は最大648床で、4日現在の使用率は46.6%。佐世保県北医療圏は56.6%と大幅に上回るが、その中核を担う同センターはさらに先んじて埋まっている。同センターで対策本部長を務める福田雄一医師は「使用率の数字と現場の実態には大きなギャップがある」と指摘する。
 流行中のオミクロン株は感染力が強く、医療従事者が陽性者や濃厚接触者となるケースが頻発している。同センターは一般病棟の看護師を集め、コロナ病棟に25人程度配置。ただ各診療科で欠勤者が出ており、補充が困難になっている。看護部長を兼務する緒方信子副院長は「どの病棟もすでに限界を超えている。スタッフは自らの感染を防ぐために日常生活も制約され、精神的な負担は大きい」と現場の疲弊を危惧する。
 オミクロン株は従来株と比べ重症化リスクが低いとされる。それでも、増崎英明理事長兼院長は「これだけ感染者が増えれば、リスクがある入院患者は多くなる。地域の基幹病院はどこも厳しい状況で、職員の負担が急増している」と強調。市民に向け「医療現場の危機感を知ってほしい。感染対策をいま一度徹底し、地域医療を守る行動を」と訴える。


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