女性消防団員が長崎県ポンプ大会へ 金山さん「皆さんのために優勝したい」

火点に向けて放水する金山さん=長崎市松が枝町

 今年37回目を迎える長崎県消防ポンプ操法大会に女性団員が挑む。県に資料が残る第25回(2000年)以降、女性が出場するのは初。長崎市消防団梅香崎地区第15分団(戸町)に所属する金山千尋さん(28)。大村市内で7日に開催される本番を前に「指導やサポートをしてくださった皆さんのために優勝したい」と意気込んでいる。
 高校卒業後アルバイトをしていた2013年、長崎市東山手町のグループホーム火災で消防団員として人命救助に当たった叔父の姿を見て「自分も地域の人の役に立てれば」と志した。当初は市の女性消防団で広報などを担っていたが、「現場で活躍したい」という思いが強かった。17年、父(同地区本部副団長)が当時の分団長を務めていた縁で第15分団に入った。
 ポンプ操法の地区大会に出場し、実力を磨いてきた。県大会は市内消防団が持ち回りで出場する。今回は梅香崎地区から、三つの分団が合同チームを構成し「ポンプ車操法の部」にエントリー。金山さんの役割はスピードや細やかな操作が求められる「1番員」。筒先(ノズルなど)とホース、合わせて重さ約9キロを担いで30メートル走り、2番員にホースを渡し20メートルほど進んで「火点」に放水する。迅速さや確実性などを競う。
 チームのキャプテン、大宮海輝さん(41)は「(金山さんは)ムードメーカーで芯が強い。訓練の成果を思う存分発揮して」と期待。他の選手は「頑張り屋でまじめ」「気兼ねない存在」と話す。金山さんは普段、建設会社に勤め、水道管敷設など現場作業に汗を流している。ポンプ操法が楽しく、「一人ひとりの熱が強く、仲が良い」チームへの思いが原動力になっている。
 5月の連休明けから週4~5日、仕事前や後に長崎港松が枝埠頭(ふとう)に駆け付け、2時間の練習に打ち込んできた。選手以外の団員たちから機材の準備や指導でサポートしてもらえるのが心強い。小学1年の息子もそばで楽しそうに応援してくれる。
 腕っぷしや体力では男性に勝てず、悔しい思いをしたこともある。でも「気持ちでは誰にも負けない」。筒先を握る手に力がみなぎる。


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