台湾情勢巡り「対話通じ緊張緩和を」 長崎の被爆者ら要望

 中国軍の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下するなど台湾周辺で緊張が高まっている問題で、核政策に詳しい県内の専門家は「核のリスクに直結する問題」と指摘。被爆者は「対話を通じて緊張緩和を」と求めた。
 長崎大核兵器廃絶研究センターの吉田文彦センター長は「核が搭載できる弾道ミサイルの可能性が大きく、万が一、軍事衝突に至った場合、核問題に直結するリスクがあると示された」と警鐘を鳴らす。EEZ内へのミサイル落下などを踏まえ「日本の問題でもある。武力衝突は徹底して避けないといけない」。
 米軍の動向を監視する佐世保市のリムピース編集委員、篠崎正人氏は中国側の意図について「怒りを示すための行動。本気で戦闘する意図はない」とみる。米軍は原子力空母を中核とする空母打撃群を台湾東方のフィリピン海に展開しているが、「定期的な作戦航海と変わりない。中国側の意図を見抜いているのでは」と分析した。
 長崎原爆被災者協議会の田中重光会長は、核使用の危機などに進展しないよう米中両国に「外交を通じ、緊張を緩める対話をしてほしい」と要望。日本政府に「傍観したり、一方の側に立ったりするのではなく、双方に働きかけて緊張を緩める役割を果たして」と注文した。

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