長崎県基金6年ぶり増 県税過去最高1263億円 2021年度決算見込み

 長崎県は5日、2021年度の一般会計決算見込みを発表した。「貯金」に当たる財政調整3基金は6年ぶりに増加に転じ、263億円(前年度比60億円増)となった。県税が過去最高の1263億円(同78億円増)となるなど、繰り越し財源を除く実質収支が7億5800万円の黒字の見通しとなったことが影響した。
 県によると、歳入は8620億4500万円(同4.2%増)。地方消費税が40億円増えたほか、全国的な経済の持ち直しに伴い、法人事業税・法人県民税が23億円増。国庫支出金は新型コロナウイルス対策関連などで194億円増えた。歳入に占める自主財源比率は30.6%と全国平均43.6%(前年度)に対し、低い水準が続いている。
 歳出は公共事業などが増え、8379億1900万円(前年度比3.4%増)。数値が高いほど財政的余裕がないことを示す経常収支比率は前年度の96.6%から89.2%に改善されたものの、依然高い水準となっている。県債残高は1兆2568億円(同118億円増)で過去最大。県民1人当たりは95万2千円となった。
 3基金の残高は増加したが、ピークだった02年度(601億円)の半分以下。県財政課は「基金を取り崩さない財政運営を達成できたが引き続き厳しい状況」との認識を示し、今後も新型コロナや物価高騰などによる影響を注視しながら、「歳入・歳出両面からの収支改善に力を注ぐ」としている。

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