高金利の外貨預金、注意点は?インフレの防衛手段として有効なのか

円預金ではほぼ金利がつかないため、高金利の「外貨預金」を始めたいと考えている方が増えているようです。

会社員の近藤聡さん(仮名・32歳)もその一人で、「ネット証券やネット銀行などではかなり高金利のものもあり、とても魅力的に見えますが、注意点はありますか?」と相談されました。


外貨預金とは?

外貨預金は、外国通貨で預金するもので、変動金利の「外貨普通預金」と固定金利の「外貨定期預金」があります。

外貨定期預金は、通貨によって金利が異なりますが、円金利と比べる高金利なので人気があるようです。円から預け入れれば一定期間金利がアップするものや、為替手数料が下がるものなど様々な商品が出ています。一方、円預金にはない為替変動リスクや為替手数料がかかります。

注意点は、外貨定期預金の場合、通常よりも金利が高くなる期間がどのくらいなのかを見ることです。ある銀行の外貨定期預金は「年2.00%」とあり、その下に少し小さな文字で3ヵ月間に限った金利だと注意書きがあります。

例えば、1,000米ドルを3ヵ月間預けた場合の金利は、1,000米ドル×年2.00%×90日/365日=4.93米ドル(税引前利息)と計算します。利息は米ドルで受け取ります。

また、あるネット証券では、「年8.00%」は7日とありますので、7日間で1.53米ドル(税引前利息)です。その後は預入期間によって、0.03%から1.71%となります。

為替レートの変動に注意

円金利より魅力的ですが、為替レートの変動によっては、為替差益や為替差損が発生することにも注意が必要です。預け入れた時より、引き出し時に円高になれば円ベースで元本割れとなる可能性があります。

また、「円」を「外貨」に交換して預ける時や、引き出しには為替手数料がかかります。円建てより高い金利は「魅力的」に見えますが、為替次第では運用益も吹き飛ぶ可能性があるということです。

満期日を迎えたら、以下のような取り扱い方法から選択することができます。

(1)円に交換する
(2)そのまま元利金を外貨として運用する
(3)元金だけをそのまま外貨として運用し、利息は円に交換する
(4)そのまま外貨として使う

為替差益は「雑所得」として総合課税の対象となります。為替差損が生じたときは雑所得から控除することができます。原則として中途解約はできません。

なお万が一、金融機関が破綻した場合に、預金等が保護される預金保険制度の対象外ということも知っておきましょう。


外貨に投資をするのは、インフレに進む今、購買力を維持する上で必要ですが、外国為替は円と交換する時の値段が変動しているだけで、金利は生むものの、それ自体が価値を生み出しているわけではありません。資産の中に外貨建て資産を持ちたいなら、何も外貨建預金でなくてもよいのです。

例えば、世界全体の株式に幅広く長期投資をしていくことです。低コストの全世界の株式に分散投資をするインデックスファンドを保有することで実現できます。長期で、企業価値が大きく高まることで、たとえ通貨下落となった場合でも、収益を得られることが多くみられてきました。つみたてNISAや確定拠出年金などで積み立て投資を続けていきましょう。

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