スーパーGT2023年導入予定の次世代燃料テスト、第4戦鈴鹿後の開催を延期。ウクライナ情勢による納入遅れが要因

 スーパーGT第4戦富士の日曜日に行われたGTアソシエイション(GTA)の定例会見で、坂東正明代表は次戦、第5戦鈴鹿のレース翌々日に予定していたテストのキャンセルを発表した。このテストでは2023年から導入する化石燃料を一切使用しない、カーボンニュートラル・フューエルによる全車テストを予定していた。現在のウクライナとロシアによる情勢により、船の到着が遅れていることが要因だという。

「ウクライナ情勢で船が出る、出ないの部分が微妙になってきて、神戸の税関に着くのがテストの前日になるとのことで、この鈴鹿テストについてはいったん中止にしました。もしそのタイミングで入ってこなかった場合、チームのロジスティックやホテルの予約の部分などがある」と坂東代表。

 スーパーGTは2023年より、ドイツ、イギリスの生産拠点から輸入するハルターマン・カーレス社のカーボンニュートラル・フューエルを使用することが今年の開幕戦岡山で発表されたが、その納期が予定より遅れてしまう形になった。

「もう1回、仕切り直しをして、もてぎでの最終戦終わりにみなさんにテストしてもらおうと思っています」と、シーズンオフに再度予定していることを明かにした。

 実走のテストは延期となったが、カーボンニュートラル・フューエルを使用してのベンチテストではGT500の3メーカーを筆頭にすでに進められている。そのベンチテストでは、若干の出力低下の傾向が見られているという。

「トヨタ、ニッサン、ホンダでベンチテストをやって頂いた結果、出力的な部分で2パーセントくらい落ちるか落ちないか。その分、燃料を多く吹くというのをやるか、やらないか。全車の出力が落ちるなら、それはそれでいいだろうと。あとはエタノールが5パーセントくらい入っていて、燃料オイルに混じって燃圧が下がる傾向がみられるので、やり方、使い方はチームと話をして、実際に使ってステップを踏んでいきたい」と坂東代表。

 気になるカーボンニュートラル・フューエルの価格に関しても「現状は約1000円/リッターで、自動車メーカー、タイヤメーカ-、GTAで各10パーセントのコストを負担して、チーム側には40パーセントを支払うようなかたちになります。今回の富士でいうとレース用の無鉛ガソリンの価格が230円、来年は400円くらいの負担になる予定です」と明かにした。

 GTAが使用するハルターマン・カーレス社のカーボンニュートラル・フューエルのデータはスーパーフォーミュラ、JRP(日本レースプロモーション)にも送っているという。スーパーフォーミュラは今季、各大会前後にテストを行い、さまざまなメーカーのカーボンニュートラル・フューエルをテスト中。まだ来季の契約は決まっていないが、リッターあたり1万円するものもあるなど、カーボンニュートラル・フューエルの価格はさまざま。

「最終的には合成燃料は国産でやりたい」と坂東代表。化石燃料を一切使わないこれからのスーパーGTの取り組みは、日本の自動車産業の大きな転換点になる可能性があるだけに、より多くの、さまざまな国内メーカーの協力が得られることを願いたい。

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