自分の大切な人が亡くなったら?お盆を前に疑似体験イベント「故人との絆は肌身離さず着けたい」

総合葬祭業のメモリアルアートの大野屋は17日まで、東京・二子玉川 蔦屋家電で「自分の大切な人が亡くなったら?」を疑似体験できるアートイベント「読むジュエリー展」を開催。4日に内覧会が行われた。

同社は、故人の遺骨や思い出の品などを少量ジュエリーに納め、身に着けられる「ソウルジュエリー」を手がけ、累計販売本数17万本を超える商品となっている。

購入者から寄せられた大切な人を喪失した悲しみ、故人への思いのメッセージをもとに、ソウルジュエリーの世界観を表現した大人向けの絵本「かけら」(絵・いわさきゆい、文・続 彩)を7カ月かけ制作。大切な人を亡くした女性のその後を描いた物語で、会場で感想を投稿した来場者に頒布版を無料配布するほか、展覧会では絵本の原画を展示。ジュエリーの実物を、実際のエピソードとともに展示する。

葬送のかたちは年々多様化。核家族化の影響で先祖供養の意識が薄くなり、一緒に暮らしていた家族への供養に変わりつつある。ソウルジュエリーは大切な人の遺骨の一部をジュエリーなどに納め、毎日身につけ絆を感じることのできる「手元供養」のニーズをすくい、2021年だけで販売個数は2万5000本を超えた。

ペンダントネックレス状のものや、「ファイテン」とのコラボ商品なども。カラーバリエーション豊富なデザイン骨つぼ「ソウルプチポット」も展開している。

同社によると、30~60代の女性が主なターゲットだが、男性の購入者が約17%いる。ソウルジュエリーの中には、少量の遺骨や遺灰だけでなく、髪の毛や思い出の地の砂などを入れる人も。ペットの亡きがらの一部を、肌身離さず着ける愛用者も多い。

主催したメモリアルアートの大野屋の担当者は「お盆を前に、大切な人との別れを考えるきっかけになればと思い企画した。コロナ禍で、死について考えることも多くなったと思う。ひとつのソウルジュエリーに込められた購入者のさまざまな思いや物語を、多くの人に知ってほしい」と開催意図を説明。より多くの人の目に触れるよう、葬祭関連のイベントでは異例となる二子玉川の人気イベントスペースで開かれた。

内覧会では絵本「かけら」の朗読も行われた。大切な人を亡くした女性の心の変化を描き、「悲しみは乗り越えることができる」との前向きなメッセージを込めた物語に涙を流す関係者や記者も。同社は今後、特設サイトでコメントを募集するほか、反響次第で各地での「読むジュエリー展」開催を検討するという。

(よろず~ニュース・杉田 康人)

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