涼を求めて真夏の京都に行ってきた 「ひえい」で“冷え〜”な体験も?

毎日暑い。東京では猛暑日の連続日数が過去最多の記録を更新したという。そんな酷暑となっている今夏だが、京都に“涼”を感じに出かけてみるのはいかがだろうか。

「盆地の京都に涼なんてあるのか」とツッコミを受けそうだが、JR東海によるおなじみの観光キャンペーン「そうだ 京都、行こう。」では今年、「京の涼さがし」をテーマに“涼”を感じられる体験を用意しているという。そこで7月中旬、実際に京都に行って涼を探してきた。

まずは「影の涼」を感じられるという京都最古の禅寺、建仁寺へ。八坂神社からも近い場所に位置するこの寺では、境内を吹き抜ける風を感じながら、中庭の「潮音庭」を静かに眺めるのがよいという。

実は今年の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンのキービジュアルとなっているのは、この潮音庭を小書院越しに見たところ。中央に三尊石を配した四方正面で、庭を覆うスギゴケとその上を覆う青々としたモミジが見た目にも涼しい。

キャンペーンでは、建仁寺のほか、名庭のある社寺の拝観やカフェなどの冷たいスイーツがセットになった旅行商品を扱っている。

そしてもう一つの見どころは、法堂の天井いっぱいに描かれた双龍図。日本画家の故・小泉淳作氏が描いたもので、2002年に同寺の開創800年を記念して奉納された。普段は一般拝観も受け付けていないという法堂の内陣に、この夏限定でリクライニングチェアと畳を用意。なんと寝転んでもよいのだという。

法堂で仰向けになって天井画を見上げ、蝉の声を聞きながら静かに風を感じるというこの不思議体験もまた、影の涼である。

続いて訪れたのは叡山電鉄の出町柳駅。ここから観光用車両「ひえい」に乗って、貴船口に向かうことにした。2018年にデビューした「ひえい」の座席は、ゆったりとしたバケットシート。照明はLEDダウンライトを採用し、特別料金不要の列車にもかかわらず特別感のある雰囲気だ。

この「ひえい」で体験できる“涼”は「怪の涼」。8月20日に貸切列車を運行し、車内では怪談和尚の異名を持つ三木大雲氏が本格的な怪談話を披露する。さらに、「ひやっ」とするような演出も用意されるという。「『ひえい』で“ひぇ〜”」(担当者)という冷え冷えな(?)イベントである。

今回は途中駅で展望列車「きらら」に乗り換え。この車両は前面・側面の車窓を大きく取り、車内の座席の一部も窓向きに配置して、パノラミックな展望を楽しめるのが特徴。

市原~二ノ瀬駅間にあるモミジのトンネルでは、この季節は青モミジ、秋には真っ赤な紅葉が車窓を流る様を満喫できる。8月15日までは夜間にモミジをライトアップし、さらに幻想的な車窓を体験できる。

出町柳から30分ほど、貴船口は標高203.8メートルの駅。すぐ側には鞍馬川とその支流である貴船川が流れる。この時点でも市街地に比べて明らかに涼しいのだが、「風の涼」を体験できるという貴船神社に行ってみよう。

左右に赤い灯籠がずらりと並ぶ石段の参道で有名な貴船神社は、水神を祀る全国の貴船神社の総本宮。周辺の地名が「きぶね」であるのに対し、同神社は水に縁が深いことから、濁らず「きふね」と読むようになったという。

まずは境内にこんこんと湧く御神水を使った「水占みくじ」を引いてみた。みくじの紙を霊泉に浮かべると吉凶が浮き出てくるというもので、水の音も涼しい夏にぴったりの体験だ。

「風の涼」は拝殿に続く階段の下、参拝者休憩所の龍船閣にある。ここにびっしりと並べられたのは水色の風車と風鈴。木々の間から吹く風を受けた風鈴が涼やかな音を立て、風車がカラカラと回る。

風車と風鈴をよく見ると、「くるくる」「ゆらゆら」といったオノマトペの文字が揺れているという遊び心ある演出も。フォトジェニックでありながら、肌、目、耳から涼を感じられる体験だ。もちろん写真撮影もOK。

最後は貴船神社のほど近く、貴船川で川床料理を提供する老舗旅館の「ひろや」へ。夏の京都に欠かせない鱧をはじめ、季節の食材がふんだんに使われた会席料理を川の上でいただくというこの究極の涼、ぜひ一度体験してほしい。

実はこの日の京都市内は雨予報が出ており、川床で食事ができるかどうか怪しいところだったのだが(雨天や増水時は室内で食事提供)、昼時には太陽が顔を覗かせるまで天候が回復した。水の神様を祀る貴船神社を参拝して、早速ご利益に与ったのかもしれない。

※本稿で紹介した各体験は期間限定、要予約制のものがあります。詳細は各施設の公式サイト等をご覧ください。

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