トヨタ、8本中7SSで最速タイムを記録。ロバンペラが最終日を前にタナクに迫る/WRC第8戦

 8月6日、WRC世界ラリー選手権第8戦『ラリー・フィンランド』の競技3日目が、ユバスキュラのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合2番手に順位を上げた。総合3番手にはチームメイトのエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、総合4番手にエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が続いている。TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手だ。

 トヨタチームの“ホームイベント”であるラリー・フィンランドのデイ3は、サービスパークの南側に位置するヤムサ周辺の森林地帯に設定されたグラベル(未舗装路)ステージで争われた。4本のSSの合計距離が150.30kmと今大会最長となった6日土曜は、午前中に強い雨が降りステージは全体的にウェットコンディションに。午後には天候が回復したものの、路面は湿っているところが多くみられた。

 不利な出走順で金曜のステージを走りながらも、総合首位と21秒差の総合4番手につけたロバンペラは、1番手スタートから解放されたことで本来のスピードを発揮。濡れて滑りやすくなった午前の4SSのうち、2本のSSでベストタイムを記録しながらエバンスをかわして総合3番手に順位を上げた。

 さらに、午後の再走ステージでは一層ペースを上げ、4本のSSすべてステージ優勝を飾る。この間にSS16ではラッピを抜き、1日の最後には首位のオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)と8.4秒差の総合2番手でデイ3を走破している。

 総合3番手となったラッピは、午前中最後のSS14を終えた時点では、首位と9.5秒差につけ優勝争いを続けていた。しかし、後のステージの1本目、SS15でフロントウインドウに石が当たってヒビが入り、視界が非常に悪い状態での走行を余儀なくされてしまう。これによってペースを失ったラッピはチームメイトのポジションを奪われ、首位とのギャップも35.2秒に拡がってしまった。

エサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第8戦ラリー・フィンランド

■ラトバラ「明日は、最初のステージがもっとも重要だと思う」

 また、オープニングのSS11でベストタイムを記録し、その後も安定した走りを見せていたエバンスもトラブルに見舞われる。SS17で左リヤサスペンションにダメージを負い、最終のSS18を前にリエゾン(移動区間)で応急処置を実施することになった。しかし、完全なかたちでラリーを続けることはできず、SS18ではロバンペラから52.1秒遅れることに。この結果、総合4番手の順位は守ったもののトップとの差は1分19秒となり、表彰台争いも厳しい状況となってしまった。

 デイ2で総合6番手につけた勝田は、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と激しい総合5番手争いを展開。SS18でスピンを喫し約30秒を失ったが、順位を落とすことなくデイ3を走り切っている。

「今日もまた素晴らしい戦いが繰り広げられた。我々のドライバーは皆一生懸命プッシュし、ベストを尽くして戦った」と語るのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表。

「今日のように競争が激しくなると、エルフィン(・エバンス)のように少しワイドに膨らんでサスペンションにダメージを負ってしまうようなことも起こり得る。一方、エサペッカ(・ラッピ)は跳ね上げられた石がフロントウインドウに当たって割れるという、不運に見舞われた。それでも、彼らは順位を落とさず最後までよく頑張ってくれた」

「カッレ(・ロバンペラ)は本当にいい戦いし、プッシュして差を縮めようとしたが、今日のオット(・タナク)は本当に強かっただけでなく、リスクも冒し、それがうまくいった。明日は、最初のステージがもっとも重要だと思うし、きっとカッレは朝のステージで少しプッシュしてプレッシャーをかけ続け、相手のペースを確認すると思う」

 そんなラリー最終日は、サービスパークの東側および南側エリアで2本のステージを各2回走行する。4本のステージの合計距離は43.92km、リエゾンを含めた1日の総走行距離は265.59kmだ。

勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第8戦ラリー・フィンランド
エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第8戦ラリー・フィンランド

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