日大三島(静岡)との開幕戦を逆転勝利で飾り、念願の「夏1勝」を挙げた国学院栃木。3年ぶりの一般有観客となった大会には6日、待ちわびた高校野球ファンがスタンドを埋めた。三塁側アルプス席には野球部の控え部員、在校生のほか、OBや保護者なども含めた約1070人が駆け付け、手拍子や演奏で後押しし、選手たちに勇気を届けた。
開会式直前まで降り続いた雨も上がり、試合開始とともに晴れ間が見えた甲子園球場。同校吹奏楽部はそろいの赤いTシャツで応援に臨んだ。石川紗衣(いしかわさえ)部長(17)は「夢に見ていた甲子園。精いっぱいの演奏で、少しでも選手の皆さんの背中を押したい」とグラウンドに強いまなざしを向けた。
新型コロナウイルス感染症対策で大きな声援は送れないため、保護者やOBも赤いメガホンをたたいて選手たちを鼓舞する。
3点先制されて迎えた四回裏、一気に同点に追いつくとアルプス席の応援は最高潮に。選手たちはそれに応えるように、その後も猛攻の手を緩めなかった。得点時には同校伝統のオリジナル曲「なまず音頭」を踊り、スタンドを盛り上げた。
五回裏に勝ち越し2塁打を放った平井悠馬(ひらいゆうま)主将の父・彦和(よしたか)さん(48)は「(平井主将が)試合前、『守りからリズムをつくって攻撃につなげたい』と話していた。盛永智也(もりながともや)投手のピッチングもすばらしく、まさにその通りの試合だった」とすがすがしい笑顔で語った。
37年前の甲子園出場時に主将だった宮田善久(みやたよしひさ)さん(55)は「初勝利でとにかくうれしい。次の相手は強豪の智弁和歌山。当たって砕けろの精神で頑張ってほしい」と力を込めた。
留守舞台、学童後輩ら歓喜
栃木市の国学院栃木高では6日、大ホールに設置した大型スクリーンを通して、教職員やサッカー部の生徒ら計約50人が甲子園のナインにエールを送った。