高齢の犬がぐるぐる回り、息ハァハァ…認知症は「本人の意志で止まれない」 症状や行動、改善法は【ペットドクター相談室】

ペットドクター相談室

19歳のおばあちゃん犬なんですが、左回りにぐるぐる回ります。薬はもらったりするんですが便が柔らかくなったりするので飲まない方がいいのでしょうか?でも、ぐるぐる回ってるので気持ち悪いのか、ハァハァ言ったりします。全身麻酔とかもやめた方がいいみたいな感じで言われました。(雑種、ゆったんさんの相談)【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 とくだ動物病院(福井県福井市)岩本毅獣医師

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ご質問ありがとうございます。高齢のワンちゃんが一定方向に円を描くようにして回る場合、犬の認知症「認知機能不全症候群」の可能性が考えられます。また、脳に器質的な障害(脳腫瘍、脳萎縮など)がある場合にも同じような行動が見られることがありますが、こちらについては前号にて回答しておりますので、ご参照ください。⇒回り続ける高齢犬、脳の病気の可能性も

犬の認知症「認知機能症候群」では「一定方向に旋回運動する」症状の他にも、「部屋の隅から動けなくなる」、「トイレを失敗してしまう」、「昼夜が逆転し、夜中に吠える」などさまざまな行動がみられます。ご相談のワンちゃんのように一定方向に回ってしまうワンちゃんは、本人の意思では止まろうと思っても止まれないため、ときおり息が上がりハァハァと言いながらも回り続けてしまいます。

⇒歩けなくなった犬、原因は?

認知症の治療法、薬は

残念ながらいま現在、「認知不全症候群」の根本的な治療法はありませんが、お薬によって症状を緩和させることはできます。内服中のお薬で軟便になる場合はお近くの動物病院でご相談の上、違う種類のお薬に変更された方がよいかもしれません。発症初期ではサプリメントや漢方、食事療法などにより症状が改善する場合もありますのでお早めにご相談ください。

近年のワンちゃんの高齢化に伴い、「認知不全症候群」の症状で来いただく機会が増えています。ご自身のワンちゃんに気になる行動出てきたとき、それは歳のせいだけではないかもしれません。お近くの動物病院までご相談ください。

⇒マイクロチップ義務化、痛みや体への影響

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