<レスリング>ポーランド遠征の男子グレコローマン・チームが帰国

 

(取材・撮影=保高幸子)

「ピトラシンスキ国際大会」でメダルを獲得した選手

 ポーランドに遠征して「ピトラシンスキ国際大会」に出場、その後、同国内で外国チームとの合宿に参加した男子グレコローマンの全日本チームが8月7日、成田空港に帰国した。

 笹本睦監督(日本オリンピック委員会)は、「金2・銀1・銅2」を取ったピトラシンスキ国際大会については、「よくやった」と好評価。55kg級を制した塩谷優(拓大)もさることながら、67kg級の曽我部京太郎(日体大)が世界2位になったこともあるポーランド選手を破って2位になったり、77kg級の前田明都(レスターホールディングス)がもう少しで屋比久翔平(ALSOK)を破る善戦をしたことなどを挙げ、「若手がよくがんばった」と総括した。

 大会後には10ヶ国参加の合宿で久しぶりに外国選手と数多くの練習ができた。試合と練習の中で「全員、課題が見つかったと思う」と話し、価値ある遠征だったことを強調。全体として、日本選手が常に挑んでいる課題であるグラウンドの攻防に力を入れなければならないと感じ、「その克服を目指して強化を続けたい」と言う。ただ、「そんなに大きな差があるわけではない」と付け加えた。

イエローカードに対して、もっとペナルティーが必要?…テスト・ルール

 大会では、テスト・ルールが実施され、消極的な選手に「イエローカード」が出されて積極レスリングを求められた。これに関しては、「微妙ですね…。イエローカードが2枚出たケース(レッドカードで失格)はなかったですし」と、はっきりした効果があったかどうか分からないという感想。

金メダル獲得の塩谷優(左=拓大)と文田健一郎(ミキハウス)

 63kg級の池田龍斗(日体クラブ)は1-1、67kg級の遠藤功章(東和エンジニアリング)は4-4の試合があり(いずれもラストポイントで黒星)、逃げ切りをはかる選手が消えていない事実があったことを指摘。「イエローカードに対して、もっとペナルティーがあった方がいいのかな、と感じました」と振り返る。

 しかし、フリースタイルのように構える選手に対して「ヘッドアップ」(上体を起こせ)を求めることは多かったので、この面では闘いが変わっていく可能性を示唆した。そり投げを得意とする文田健一郎(ミキハウス)には「いいルールになるでしょう」と予測。さらに、頭をつけて守ることができなくなったので、外国選手はスタミナ温存策をとれなくなり、「日本選手には有利になるかもしれない」と話した。


▼60kg級・文田健一郎(ミキハウス)

▼77kg級・屋比久翔平(ALSOK)

▼55kg級・塩谷優(拓大

▼67kg級・曽我部京太郎(日体大)

▼77kg級3位・前田明都(レスターホールディングス)

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