川崎・麻生区にオペラ稽古場新設 地元密着で芸術振興図る 日本オペラ振興会「劇団民藝とも協調したい」

完成した日本オペラ振興会の新稽古場

 オペラ公演を開き、声楽家育成などを行う公益財団法人日本オペラ振興会(本部・東京都渋谷区)が、川崎市麻生区黒川に初の大型稽古場を新設した。近くに「劇団民藝」の稽古場があり、黒川で芸術の振興を図っていくという。

 同振興会は、西洋のオペラを上演する「藤原歌劇団」と、日本の和の精神をオペラで表現する「日本オペラ協会」との合併統合で1981年に設立した。

 これまでは昭和音楽大(同区)の稽古場などを活用していたが、今年4月に死去した振興会元常務理事の立石信雄氏が生前、「より良い公演には自前の稽古場が必要」と振興会に贈った寄付金などを活用した。そのため新稽古場を「立石信雄記念リハーサルスタジオ」と名付けた。

 稽古場は鉄筋コンクリート造りの地上3階建てで、今年2月に完成した。延べ面積約1151平方メートルで、3階に約350平方メートルの稽古場、2階には歌の練習などに使う約50平方メートルのレッスンルームを備える。新百合ケ丘事務所の事業部・制作部も新稽古場に移った。

 2020年の「カルメン」に、地元の桐光学園高校合唱部が参加する地域交流も予定したが、新型コロナウイルス感染拡大により延期となった。新稽古場完成に伴い、振興会では将来的に教育現場との交流も可能になるとみている。

 振興会の渡辺佳英理事長は「時間の制約なく稽古できるので、演奏と歌の水準を上げていきたい。地元密着が重要で、劇団民藝などとも協調して取り組みたい」と話した。

© 株式会社神奈川新聞社