「鎌倉ハイボール」じわり人気 路地裏の味を瓶詰め 立ち飲み屋が製造 海の家にも広がり

鎌倉ハイボールを手にする清藤さん=鎌倉市小町

 JR鎌倉駅近くの立ち飲み屋「テンスケ」が新型コロナウイルス禍で製造を始めた瓶詰め飲料「鎌倉ハイボール」にじわりと人気が集まっている。今夏は、販路を海の家にも拡大。藤沢、逗子両市内の海の家での取り扱いが始まるなど徐々に広がりを見せている。代表を務める清藤(せいどう)真理子さんは「鎌倉の話題の一つになれば」と話している。

 同店は鎌倉市の目抜き通り「若宮大路」と観光客向けの土産店などが軒を連ねる小町通りの間の路地裏にひっそりと立つ。清藤さんは、8年ほど前から立ち飲み屋を切り盛りしてきた。「お客さん同士の垣根がない触れ合いが好きで開業した」と当時を振り返る。その後、カラオケのできる酒場「アコーディオンテンスケ」を近くにオープンさせるなど、商売は順調だった。

 2年前の新型コロナ感染症拡大で暗転、同店も客足が激減した。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出るたび、カラオケ店は休業を余儀なくされた。清藤さんは「(オープンから1年たち)ちょうど常連が付き出した頃で、痛手だった」とこぼす。

 コロナによる休業は、これまでがむしゃらに働いてきた自分への「休みなさい」というサインだと捉えた清藤さん。それと同時に、何か大好きな鎌倉に元気を与えられないかと考え、立ち飲み屋で評判だった「鎌倉ハイボール」の商品化を思い付いた。

 これまで、商品開発に携わった経験は少なく、店の常連客の助けをもらいながら、新潟県内のメーカーに製造を委託し、昨年11月商品化にこぎ着けた。

 商品は3種類で同店の看板メニュー「鎌倉ハイボール ジンジャー」(310ミリリットル)と「鎌倉ハイボール ピュア」(同)、ノンアルコールの「鎌倉ジンジャエール」(同)。喉に抜ける爽やかな刺激と、しっかりとした飲み応えが好評という。市内の土産物店や同店のサイトで購入できる。

 清藤さんは「コロナ禍でみんなで乾杯できる機会は少なくなったが、鎌倉のことが好きな人のお土産にしたり、自宅用として楽しんでもらいたい」と話している。

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