福井県ものづくり産地を巡る「RENEW」10月7~9日開催 法人SOE設立し、空き家で宿泊施設整備へ

RENEW開催をPRする事務局メンバーと参加事業者=8月5日、福井県越前市池ノ上町の刃物の里

 福井県の鯖江市と越前市、越前町のものづくり産地を巡る工房見学イベント「RENEW(リニュー)」実行委員会は8月5日、8年目の本年度イベントを10月7~9日の3日間、鯖江市のうるしの里会館を拠点に開くと発表した。併せて、事業者有志らによる実行委を一般社団法人SOE(ソエ)として法人化したことを明らかにし、通年型の産業観光メニューの企画や、空き家を使った宿泊施設の整備にも乗り出す方針を示した。

 SOEの内田徹代表理事(漆琳堂社長)らが越前市池ノ上町の刃物の里で記者会見を開いた。2024年春の北陸新幹線県内開業を見据え「越前鯖江エリアを日本一の産業観光のまちにする」と強調。過去7年間のRENEW開催経験を生かし「稼げる産地づくり」を一層推し進めていく考えを示した。

 SOEは、内田代表理事をはじめ実行委事務局のメンバーら12人で設立。RENEWをこれまでと同様に開催するほか、丹南のものづくりの産地を巡る観光ツアーを通年で提供する。年度内に7企画を目安とし、現在3市町の10社と連携し開発を進めている。

 観光拠点となる宿泊施設も整備し、当面は24年春までに空き家を再利用して鯖江市河和田地区と越前市今立地区に1カ所ずつ設ける計画。これらの事業は、観光庁の補助事業の採択を受けた。

 また、職人や地域で活躍するデザイナーの養成に向け、オンラインを軸とした学校を開校。産地をPRするウェブサイトの運営や移住支援、2次交通の充実化などにも行政などと連携して取り組んでいく。

⇒木村拓哉さん愛用の包丁は越前打刃物

 今年のRENEWは▽越前漆器▽越前和紙▽越前打刃物▽越前箪笥(たんす)▽越前焼▽眼鏡▽繊維-の七つの産業を中心に、過去最多の97社が参加する。職人と交流しながら買い物を楽しんでもらったり、ワークショップでものづくりの現場を体感してもらったり、産地の魅力を存分に味わってもらう。

 新たな取り組みとして、スタッフがおすすめスポットを紹介する飲み物付きの休憩所「RENEWトラベルスタンド」を開設。各産地への移動手段となるワンコインタクシーも引き続き運行する予定。工芸品の雑貨店を全国展開する中川政七商店(奈良市)とコラボした展示販売会「大日本市鯖江博覧会」も同館周辺で同時開催する。谷口康彦実行委員長(谷口眼鏡社長)は「社会経済のめまぐるしい変化に負けないよう、地域とともに成功させたい」と抱負を述べた。

© 株式会社福井新聞社