JR駅1日乗降客数、滋賀の首位は2年連続で草津駅 2位はコロナ禍で学生戻らず

2021年度の県内のJR線で乗車数が首位だったJR草津駅(草津市渋川1丁目)

 滋賀県内にあるJR線の駅で2021年度の1日当たりの乗降客数は、草津駅が2年連続で最多だったことがJR西日本への取材で分かった。19年度まで首位だった南草津駅は2位のままで、新型コロナウイルス禍の影響で同駅最寄りの立命館大の対面授業が本格化せず、学生の利用の伸びが弱かったためとみられる。ただ22年度からは対面授業が主体となっており、次回集計で同駅が1位に返り咲く可能性もある。

 上位4駅は、草津駅2万5182人(前年比1235人増)、南草津駅2万3148人(同1976人増)、石山駅1万8953人(同283人減)、大津駅1万5199人(同677人増)で順位に変動はなかった。前年7位の瀬田駅が5位に浮上し、守山駅と近江八幡駅は順位を一つ下げた。上位10駅は東海道線が独占している。21年度の同線の鉄道利用者は大きく落ち込んだ20年度に比べ、おおむね回復傾向がみられる。

 2年続けて2位だった南草津駅だが、明るい材料もある。草津市の立命館大びわこ・くさつキャンパスには約1万5千人の学生が在籍し、このうち自宅生は56%。多くがJR線で通学し、同駅を利用しているとみられる。同大学広報課によると、21年度は緊急事態宣言の発令などでオンライン授業の割合も多かったが「昨年11月から対面授業が原則となり、今年4月以降も現状その流れに変わりはない」としている。

 この他、東海道線以外の路線で首位の駅は湖西線・大津京駅8042人、北陸線・長浜駅3432人、草津線・貴生川駅3192人。また、県内最少の駅は湖西線・永原駅の74人だった。

■首位争い激化 減便の影響受ける駅も
 
 県内JR駅の乗車数は今後も、駅を核に都市開発が進む草津駅と南草津駅の2強構図が続くとみられる。一方、コロナ禍で利用客数を大きく減らしたJR西日本は今春のダイヤ改正で過去最大規模となる減便に踏み切り、影響を受ける駅もありそうだ。

 立命館大の最寄り駅である南草津駅は2024年度に情報理工学部・研究科が大阪に移転するマイナス要因があるものの、住宅需要を背景に駅周辺のマンションや住宅開発が盛ん。約900世帯の入居を見込む「南草津プリムタウン」も着々と整備が進む。草津市は18年後の40年まで南草津エリアの人口増加を予測しており、「今後も鉄道利用者は増える」とみる。

 対する草津駅は県内唯一となった百貨店など複数の大型商業施設やホテル、タワーマンションなどが立ち並び、まるで「県都の玄関口」の様相を呈している。マンション建設ラッシュが続く一方、廃業した商店などが大規模集合住宅に置き換わり、昼間のにぎわい創出も課題。市は5月、駅近くの草津川跡地公園「de愛ひろば」でJR西と鉄道の相互利用などを目的とした催しを開いた。

 県庁など官公庁やオフィス街がある大津駅も乗車駅上位で堅調に推移する。龍谷大は20年11月から学生の密集回避などを目的に、同駅―瀬田キャンパス間の直行シャトルバスを本格運行。「1日600人が利用する」(広報担当者)という。ただ平日の利用が多い半面、休日は閑散としており、駅を拠点に観光客を琵琶湖などへ誘導する取り組みが求められる。また、新快速が通過する瀬田駅は5位に浮上。近くの龍谷大生らの利用が一定戻っているとみられる。

 JR西は、テレワークの普及といった働き方の変化で乗車数がコロナ禍前の水準には回復しないとみる。ダイヤ改正で東海道線草津-米原間の昼間の新快速電車が1時間2本から1本に減った。

 不動産経済研究所(東京)の大阪事務所担当者は「通学通勤時間帯ではないので(マンション建設の動向に)大きな影響はない」としつつ、「大津や草津の駅周辺はマンション供給量が多い。野洲や近江八幡など県内他地域やマンション価格が高騰する京都市中心部から大津、草津に移住する流れがある。これに付随して周辺駅の乗車人数の増減もありうる」と話す。県内上位駅の乗車人数が今後どう変化するのかも注目される。

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