佐藤万璃音、FIA F2ブダペスト戦は不完全燃焼の週末に「少しずつではあるが前に進んでいる」

 7月29〜31日、ハンガリーのハンガロリンクで開催されたFIA F2第10ラウンドのブダペスト戦。佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)にとってはユーロフォーミュラ・オープン時代に2勝を飾っている得意コースだったが、不完全燃焼の週末を送ることになってしまった。

 ポールリカールでの第9ラウンドを経て、迎えたハンガロリンクでの第10ラウンド。現地時間11時35分からのフリー走行では、走り出しから順調にラップを重ねた万璃音だったが、ブレーキング時のリヤのスタビリティのなさを訴えた。19周をこなし1分30秒699で18番手。予選に向けてエンジニアとセットアップを煮詰めていった。

 午後の予選では、状況はさらに悪化。路面コンディションの変化も影響したのか走り出しからリヤのグリップ感がなく、ラスト1周までタイムアタックができない状況となってしまう。それでもラスト1周のアタックで1分29秒018を叩き出し、15番手で予選をクリアした。

「フリー走行では走り出しからバランスは悪くなかったのですが、リヤブレーキのステビリティがなくて不安感がありました。それをエンジニアに伝えたのですが、予選ではさらにリヤのグリップが全然ない状態となってしまい、高速コーナーがオーバーステアでトラクションがまったくかからず、走れる状況ではなかったです。エンジニアもどうしていいのか頭を抱えてしまいましたが、なんとか最後の最後にコースインして、1周だけまとめることができました」と万璃音は予選を振り返った。

 7月30日(土)のスプリントレースは、現地時間午後6時、気温22℃、路面温度31℃というコンディションの中でスタートが切られた。15番手グリッドからスタートした万璃音は好スタートを決め、13番手まで浮上したものの、アクシデント車両によってセーフティカーが導入される。レースは4周目に再開されたが、抜きにくいハンガロリンクだけに万璃音もタイヤを労りながらの走行となり、フロントタイヤのデグラレーションがひどく、思うようにペースが上げられないまま最終的に15位でチェッカーを受けた。

 7月31日(日)のフィーチャーレースは気温19℃、路面温度27℃という曇り空のもとでの37周レース。攻めの姿勢をみせてオプションタイヤでスタートした万璃音は、15番手から積極的なレース運びでポジションを上げ10番手まで浮上するものの、交換したプライムタイヤが2周で温まりきってしまい、最後までもたせるのが精一杯の状況に。またしても不本意な15位でチェッカーを受けることになった。

「決勝レース1もレース2も、内容的には大差がなく、いずれもフロントタイヤのデグラデーションがひどくて、タイヤをもたせるのが精一杯のレースとなってしまいました。レース2はオプションタイヤでスタートして、すぐにタイヤを温めることができてポジションを上げられましたが、その恩恵を受けられたのは1周だけでした」と万璃音。

「そのままギリギリまで引っ張ってプライムタイヤに交換してそのタイヤも1周くらいで温めることができたのですが、絶対に最後までもたない感じでした。無線でもペースを落としてタイヤを最後までもたせろと言われましたが、これ以上ペースを落とすことなんてできないですから、ギリギリ限界で走り続けました」

 一時は浮上のきっかけが見えかけたものの、ポール・リカール、そしてハンガロリンクと苦戦を強いられてしまった万璃音。「結果的にこの週末は自分たちにとって悔しい週末になってしまいましたが、セットアップに関して言えば、だいぶ僕の好みに近づいてきたので、方向性は合っているのかなと思います」と前向きな姿勢をみせた。

「少しずつではありますが、前に進んでいることは実感しています。次のベルギーも頑張りますので、応援よろしくお願いします」

2022 FIA F2ブダペスト 佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)

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