太平洋戦争末期の沖縄県知事島田叡(しまだあきら)と警察部長荒井退造(あらいたいぞう)(宇都宮市出身)ら、沖縄で「島守」と呼ばれる人々の奮闘を描いた演劇「島守のうた あした天気にしておくれ」が8日、宇都宮市文化会館で上演された。沖縄の役者と栃木県の高校生らが共演し、2人が身をていして訴えた命の大切さへのメッセージを生の舞台で表現した。
沖縄県内で活躍する役者らが中心となり作られた作品で、県外で初めて有観客で披露された。「栃木公演沖縄役者スペシャルチーム」のメンバーに加え、荒井の母校宇都宮高演劇部と、宇都宮アート&スポーツ専門学校の生徒、学生約20人が熱演した。
県民の疎開に奮闘、難儀する荒井、新知事として赴任した島田のリーダーシップ、職員と共に県民の命を守ろうと献身する中で悪化していく戦況など2人の志と辛苦を迫力ある演技で表現した。「生きて生きて生き抜くんだ」など象徴的なせりふも随所に登場した。
夫が沖縄県竹富町出身の那須烏山市、平良千枝子(たいらちえこ)さん(60)は「最後まで沖縄を見捨てずに助けようとした荒井と島田の絆がしっかり描かれていた」と感銘を受けた様子だった。
演劇は「沖縄復帰50周年平和祈念公演」と題した催しの中で披露された。演劇の前には那覇市繁多川公民館館長の南信乃介(みなみしんのすけ)さん(41)が、荒井の疎開推進の功績や、復帰50年の今、2人から学ぶべき教訓などについて基調講演した。
第2部では宇都宮高、宇都宮女子高の合唱部が沖縄戦や沖縄にちなむ曲を歌い上げ、約500人の観客から演劇同様、満場の拍手を浴びた。