親なのに…「成長見届ける機会を奪われた」 学校行事参加を拒否された別居の親、県内3市相手に集団訴訟

さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 連れ去りなどにより子どもと別居する親が学校行事に参加できないのは違法などとして、保育園児から中学生までの子を持つ親3人が8日、埼玉県内3市を相手取り、1人55万円の支払いなどを求める訴訟をさいたま地裁に起こした。

 訴状などによると、公立学校は同居する親の希望に従い、原告側に学校行事への参加を拒否するなどしたとされる。被告は、原告の子どもが通う公立学校を所轄するさいたま、戸田、鴻巣の3市。

 提訴後、さいたま市浦和区の県庁で記者会見に出席した原告の鈴木こま恵さん(47)は、「親権があるのに、親権がないのと同じように扱われている。わが子の門出に立ち会えず、親にとって最大の喜びである、子どもの成長を見届ける機会を奪われたことは許しがたい」と訴えた。鈴木さんは、2人の子どもに、約2年半会えていないという。

 弁護団の作花知志弁護士は「子どもと同居している親の意向だけを優先して、別居親を排除する行政の運用は、子どもの利益そのものに反している」と語った。

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